フィルターバブルと上手に付き合って情報をみる方法

私たちが見ている情報の多くは、私たちの都合の良い情報に満ち溢れています。フィルターを便利に活用するのと同時に、それによって視野を狭めている可能性があるという批評的な視点も必要です。

あなたの見ている世界はあなたの世界

今は検索をすることなく、膨大な情報を自動的に手にいれることができます。仕事柄、Web・アプリデザインをしている方とソーシャルメディアで繋がっていることから、Facebook や Twitter を開くだけで、自分好みの情報が日々流れてきます。何をしなくても情報が入ってくるという日々は、フィードリーダー(RSSリーダー)に気になるブログを登録して、定期的に管理をしていたときとは大きな違いです。

ますます増えるコンテンツの中から、自分にとって必要な情報を選ぶのは簡単なことではありません。そこで「友達」「知り合い」「信用できる人」というフィルターによって厳選されるソーシャルメディアは情報収集に役立ちますが、自分にとって都合の良い情報だけが集まったフィルターバブルに陥りやすくなります。

ソーシャルメディアは、ニュースフィードと呼ばれる新着情報を最初に表示させて、ユーザーに『今』を知らせることが基本でした。しかし今、利用者の行動履歴や関連情報に基づいたアルゴリズムへシフトし始めています。Instragram はフィードのアルゴリズム化を始めていますし、Facebook も、頻繁にアルゴリズムを調整して、フィードの見た目を変えてきています。時系列が大きな特徴とも言えた Twitter でさえアルゴリズムへシフトしています。ノイズが少なくなる可能性があると同時に、私たちのフィルターバブルはより強靭なものになるかもしれません。

自分が気に入っている人から送られてくる、自分にとって『美味しい』コンテンツだけが流れてくるわけですから、視野も知識も狭まってしまう恐れがあります。ときには間違った情報を受け取って、それを自ら広げてしまうことも考えられます。

しかし、だからといって使わないという選択は、膨大に広がるインターネットの世界を体験する機会を失うことになります。インターネットの魅力は、まったく違う視点・経験をもつ人のアイデアを触れることができるところ。そこでフィルターバブルから外に出るための方法を幾つか紹介します。

自分がどう見られているのか知る

まずは、どのようにフィルターバブルが発生しているのかを知ることで、情報の流れや見方をコントロールすることができます。私たちが何気なくしている Like や RT は、私たちが見ている情報に大きな影響を及ぼしています。行動履歴が、私たちが何者であるかを決める判断材料になっているわけです。では、Facebook や Google は、私たちをどのように見ているのでしょうか。幸い、設定画面からそれを見ることができます。

Facebook の場合、「設定」から「広告」画面へ移動します。ここでは広告の表示設定だけでなく、プロフィール情報や行動履歴から導き出された、ユーザーに紐づくキーワードを観覧することができます。

Facebook の広告設定「タップダンス」という見覚えのないキーワードを発見。
自分に合わないキーワードは削除することができます。

Google でも同様に、Control your Google ads へアクセスすると、自分に関わるキーワードを一望することができます。いずれも広告に関わる情報ですが、自分がどのように見られているのかを知る良い機会。日々観覧しているニュースフィードにも影響している可能性があるので、見ておく価値があります。

Googleの広告設定画面

無意識バイアスについて知る

フィルターバブルはソーシャルメディアが唯一の要因ではありません。私たちの育った環境や文化などすべてがフィルターバブルの形成に影響を及ぼしています。自分は客観的に物事を見ていると思っていても、無意識のバイアス(Unconscious bias)がかかっていることがあります。様々な情報を受け入れているつもりが、バイアスによって取捨選択している可能性があるわけです。バイアスをゼロにすることはできませんが、自分にもあるということを知ることが情報の見方に変化が生まれます。

メディアサイトはソースになる記事を参照して要約していることが少なくありません。日本語ではなかったとしても、あえてソースになる記事まで辿るだけでも違ったふうに情報が見えることがあります。ひとつの情報だけで結論づけるのではなく、関連する情報を幾つか参照したり、人がなぜその情報を勧めているのか問いかけてみましょう。

ちょっと遠いこと、新しいことをする

デザインの仕事をしてれば、学習することも直結したことになりがちです。たとえスクリーン上のデザインでも、それを使う人を理解するには、スクリーンの外のことを知らなければいけなくなります。今すぐ使える知識だけではなく、中長期の知識を身につけることが新たな視野を得ることに繋がります。

直球のトピック(私の場合はデザイン)ではなく、少しだけ関連している分野に興味をもつことは、次のアプリのダウンロードや、新しいサイトを見るキッカケを作ってくれます。いつも同じサイトやアプリを開いてマンネリになりがちな日々。新しいアプリも仕事が理由ということ以外落とさなくなりがちです。

例えば私の場合、心理学やメンタルヘルスへの興味が Calm のようなアプリや、新しいブログに出会うキッカケになりました。心理学の探求は人の理解や、アプリの設計に影響を及ぼすと思います。また、それぞれの分野に適したビジュアルや言葉遣いを学ぶ良い機会を与えてくれます。

まとめ

フィルターバブルは、今の超情報過多時代には必要悪といえる存在だと思います。自分では気付かないうちに、自分にとって都合の良い世界を作り出すフィルターバブル。しかし、だからといってひとりの人間が消化できる情報量を遠に超えている今は、何かしらのフィルターは安全保護といえるでしょう。フィルターバブルを無くすように努力するのではなく、ときどきフィルターバブルから抜け出して『外の世界』を眺める時間が必要です。

私たちが見ている情報の多くは、私たちの都合の良い情報に満ち溢れています。フィルターを便利に活用するのと同時に、それによって視野を狭めている可能性があるという批評的な視点も必要です。特に人を相手にした仕事をしている以上、自分たちが見ている世界がすべてではないことを常に意識していきたいです。

筆者について

Experience Points

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