コンテンツに関わる5つ課題と発見の共有

コンテンツに関わる課題発見のために時間を割くことは、必要となるコンテンツを見つけるだけでなく、プロジェクトメンバーからの同意が得やすくなります。特に他分野の方との会話をするときに、コンテンツは共通項になります。

人とコンテンツとの関係

コンテンツは既にあるから、デザインができる。
あとで流し込めば良いから、コンテンツ制作は先送りができる。
こうした考えが、自己主張ファーストなコンテンツになっていたり、後付けのマルチデバイス対応に繋がります。現存のコンテンツが十分利用可能だったとしても、一度立ち止まってコンテンツに関わる様々な課題の発見に時間を削ぐようにします。以下の 5 つの課題の洗い出しは、大幅なリニューアルから、ランディングページまで様々な規模のプロジェクトで必要になります。

  • 訪問者(読者)が求めていること
  • 配信側が求めていること
  • 配信側が実際必要になるアクション
  • いつ、何を配信するか
  • どのチャンネルでコミュニケーションをとるか

例えば CMS の選択や、そこでのカスタマイズも、どのようなコンテンツが保管・管理がされて、どのように配信されるかをあらかじめ知っておくと大きく変わります。利用者のことを見るだけでなく、配信側(企業・団体)のニーズや規模感も考慮することは、UX デザインプロセスには欠かせない視点。さらに「実際、どこでどのように何を配信するのか?」という制作・運用までの戦略を考えるところがコンテンツデザインの面白いところです。

ペルソナやカスタマージャーニーマップといった UX デザインに用いられる手法に、必要なコンテンツを発見するまでの流れを以前からワークショップにしていますが、ユーザーが求めていることの発見に留まらず、現実的にできることも考えてもらうためのトレーニングになると思い、実施しています。人とコンテンツは密接な関係にあり、それは単に訪問者のことだけでなく、日々コンテンツを運用する人たち(ライターや担当者)のことも考えることを意味します。

コンテンツデザインを共有する

コンテンツに関わる課題発見のために時間を削ぐことは、必要となるコンテンツを見つけるだけでなく、プロジェクトメンバーからの同意が得やすくなります。発見のプロセスを共有することは、「コンテンツは重要です」と説くより課題の重要性が理解しやすくなります。特に以下の2点は、他分野の方とプロセスを共にするときになくてはならない手法です。

データに注目する

コンテンツに関わる課題を発見するために、データは不可欠な存在です。インタビュー、観察はもちろん、解析ツールによるデータは訪問者の欲求を導き出すヒントになります。コンテンツ・インベントリーを作ることで現状把握はできますが、何が必要なのかまでは分かりません。データから導き出された仮説を基に、以下のように現存コンテンツを整理することができます。

  • 載せるべきコンテンツの優先順位
  • 改善が必要なコンテンツ
  • 言葉遣いや用語の整理
  • 配信チャンネルの洗い出しと誘導先

画面によって評価指標が異なることがあるので、データの見方にも注意が必要です。例えば、記事の場合、読まれたかどうかを判断する材料として滞在時間の長さに注目します。しかし、お問い合わせや、ちょっとした情報を確認したい画面で、同じように滞在時間の長さを良い指標としてみることはできません。画面が機能しているかどうかは、その画面で訪問者に何をしてもらいたいかで判断します。

専門家の力を借りる

ビジネスゴールを理解した上で設計をするように努めているものの、ビジネス側の視点をきちんと汲み取れているとは限りません。また、営業やカスタマーサービスの方のように、毎日のように人々の声に耳を傾けているわけではありません。デザイナーであっても多岐にわたって知識を深めておきたいものの、専門でやっている人には到底及びません。そんな彼らの見識を利用しないわけにはいきません。

デザインになると「私はセンスはないから」「分からない」という言葉で遠ざけられることでも、コンテンツであれば会話が始めやすくなることがあります。もちろん、ビジネスだけでなく、今まで見たことないパターンの仮説、人の突発的な行動の発見、又は過去の運用体制について知っている専門家がいるはずです。その人に尋ねるという行為そのものが、ひとりひとりの声を尊重していることを示す合図にもなります。

まとめ

訪問者が必要としているコンテンツを作ることは当たり前ですが、そこにビジネスゴールや組織に属する人たちのニーズにも応える必要があります。コンテンツに関わる課題を発見するプロセスを通して、同じ方向に向かって進みやすくなります。誰もが「コンテンツが必要」と言いますが、ニュアンスやプロセスの違いから、別々の方向を向いているかのように見えることがあります。

訪問者が必要としているコンテンツを提供しているつもりが、いつの間にか配信側が言いたいことを発信しているだけということになる場合があります。こうした状況を極力避けるために、コンテンツに関わる 5 つの課題を調査し、共有するようにしましょう。

コンテンツデザインは後回しになりがちですが、5 つの課題のひとつだけで良いので視覚化すると、コンテンツの見方が少し変わると思います。上司からの許可が下りるのは待つのではなく、リスクが低いページを選定して試すことで今後に繋がる学習体験になるはずです。

筆者について

Experience Points

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