非デザイナーでもできるスライドデザインの工夫

せっかく良い話をしているのに、スライドのデザインにまとまりがないから損をしていることも少なくありません。あえて機能や表現に制限を築いてスライドを作ると見た目が大幅に改善されます。

ルールを守ればスライドは改善する

日本各地で登壇の機会をいただいていますが、内容そのものの感想ではなくスライドのデザインについて聞かれることがあります。デザイナーの端くれとしてスライドのデザインには気を使っているので、「どう作っているの?」と聞かれるのは光栄です。スライドのデザインは昔から Keynote で行なっています。貼り付けた動画を使って演出していることもありますが、ほとんど Keynote にある機能を使っています。

デザイナーでなかったとしても、以下のルールに従うことで、一貫性のあるビジュアルとストーリーを構築することができます。

カラーパレットを作る

ひとつひとつ好きなように作るのはなく、全体を意識しながらひとつのスライドを作るようにします。スライドごとに色が違うと、統一感が失われるのでひとつのプレゼンとしてのインパクトも小さくなります。そこで、カラーパレットを用意して、その色だけでスライドをデザインするようにしてします。

カラーパレットの例あるプレゼンで用意したカラーパレット

白と黒を除いて、通常 6 色ほど用意しています。スライドの背景色を明るいもの、暗いもの両方用意する場合は、十分なコントラスト比を保てるように 2 色ほど追加する場合もあります。もちろん、色を絞ったからと言って統一感が出るとは限りません。例えば、赤色を使うときは重要な情報を伝えるとき、黄色は図にワンポイントを加えるときと、色の使い方もある程度決めておくと良いでしょう。

色は適当に選ぶのではなく、色を並べてバランスの良いものを選ぶのが最適です。パレットで用意したすべての色を 1 つのスライドで使うことはマレですが、スライド全体のバランスを整えるためにも、色を並べて確かめるのをお勧めします。「自分には色を選ぶセンスがない」という人は、Adobe Color CC をはじめとしたカラーパレットジェネレーターを使うと良いでしょう。

書体も大きさも絞る

色と同様、書体もついつい多くなりがち。伝えたいことが多いからと、情報量に応じて文字の大きさを変えてしまうこともあります。プレゼンを見に来た人はスライドを読みに来たわけではないので、文字が多ければ編集をするべきですが、それだけでは十分ではありません。

文字の大きさがスライドごとに違うとリズムが悪くなりますし、ヘッダーなのかリストなのかといった情報構造も把握し難くなります。書体もアクセントのために変えたい場合がありますが、そのときはアクセントとしての書体をひとつ選んでおくと良いでしょう。

Keynote にあるテキストスタイルパネルKeynote にもテキストスタイルを保存する方法があります。

あと、小さ過ぎる文字を使わないのもポイント。従来からある 4:3 の XGA 解像度でも最低 32 ポイントくらいの大きさがあると見やすいです。

トランジションは 2, 3 種類

スライドのトランジションが豊富にある Keynote。派手な演出もたくさんあるので、注目してもらうためについつい使いそうになりますが、かえって集中力を失ってしまう場合があります。使うトランジションは 2, 3 に絞って、色と同様使う役割を決めておくと良いでしょう。

Keynote にあるトランジションパネル

私の場合、使っているトランジションは「プッシュ」「ディゾルブ」のみ(何も設定しないことも多くあります)。プッシュは、ひとつのトピックが複数のスライドにまたがって続く時に使っています。ディゾルブは、トピックが変わって次の話題に移る時に使っています。トランジションも単なる演出ではなく、情報を伝達するためにあると考えています。プッシュとディゾルブを使い分けていることは来場者は気付かないと思いますが、色と同じように選択肢を絞って、それぞれルールを作ることはスライドデザインにおいて重要になります。

マジックムーブを使いこなす

図解:マジックムームの仕組み

マジックムーブはスライド A の状態とスライド B の状態の間をアニメーションで埋めてくれる便利な機能。プレゼンスライドだけでなく、Keynoteでプロトタイプを作るときにも使えます。オブジェクトの位置はもちろん、大きさや角度の変化もスムーズなトランジションにしてくれます。

何でも自由に変形ができるわけではないですし、読み込みしたビットマップ画像は対応していませんが、工夫次第で様々な演出をマジックムーブひとつで行うことができます。スライドの背景色さえ合わせておけば、まるで 1 枚のスライドで様々なことが起こっているかのような演出ができるのはマジックムーブならでは。先述したように乱用しているだけだとかえって邪魔になるだけですが、以下のような条件でマジックムーブは使えます。

  • ひとつのモノ・コトを様々な角度から説明したいとき
  • 注目して欲しいポイントがあるとき
  • スライド前後の関係性を明確に示したいとき

マジックムーブの使用例

まとめ

スライドに頼る前に、話の構成や練習をすることが大前提です。しかし、せっかく良い話をしているのに、スライドのデザインにまとまりがないから損をしていることも少なくありません。今回は Keynote を使った話でしたが、それ以外のツールでも出来ることばかりです。一貫性のあるデザインとリズムをつくることはスライドデザインにおける基本だと思います。

最近のツールは、やれることが多過ぎて統一感を保つのが難しい場合があります。ついつい目新しい機能に手を伸ばしてしまって、いつの間にかフランケンシュタインのようなデザインになることもあります。すべての機能を使い倒すのではなく、あえて機能や表現に制限を築いて作ってみてはいかがでしょうか。

筆者について

Experience Points

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