デザインが失敗してしまう理由

「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法」「イノベーションの神話」の作者として知られている Scott Berkun氏は、現在も執筆活動だけでなく講演やブログなど情報発信を絶え間なく行

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法」「イノベーションの神話」の作者として知られている Scott Berkun氏は、現在も執筆活動だけでなく講演やブログなど情報発信を絶え間なく行っている方です。そんな彼が先日「なぜデザイナーは失敗するのか」という刺激的なタイトルのレポートを掲載しました。詳しい内容は UIE13 で話されたそうで、スライドの PDF 版をダウンロードすることが出来ます。

デザイナー、プロジェクトマネージャ、プログラマーなど様々な役職の方300名を対象に調査 (そのうち 35.2% はデザイナーで、49% はチームを管理したりリードする方)。41の質問に対してデザイナーが失敗すると思うものを1〜5のスコアを付けるというアンケート。詳しくは記事を読んでいただきたいですが、平均スコアが高かったのは以下の10項目。

  1. デザインをしない方がデザインの決定権を持っている 4.18
  2. デザインの知識がないマネージャが決定権を持っている 4.14
  3. デザインをする前に十分のデータ分析をしないデザイナー 3.92
  4. 長期的な効果を考慮する時間がない 3.81
  5. 重要なフィードバックを聞き入れない 3.69
  6. ビジネスの基礎条件に関する認識が低い 3.66
  7. 口先だけの「利用者中心のデザイン」 3.64
  8. 失敗や実験が許されない環境 3.62
  9. たくさんの人が関わりすぎてデザイナーの力が弱い 3.60
  10. ひとつのデザインスタイルに頼り過ぎ 3.54

大勢の方を対象にしてアンケートをとったわけではありませんし、Berkun氏のサイトに訪れている方も多くアンケートに参加しているので、少々偏った結果なのかもしれません。しかし、Berkun氏がデザイナーの失敗には心理的、スキル、組織が原因によるものという部分は同意出来ます。特にスキルによる失敗はあるのかもしれません。ここで言うスキルは Photoshop が上手く使えるかどうかというより、コミュニケーションスキルのことを指します。

特にウェブデザインではインターフェイスを手がけるだけとはいえ、テクノロジーの理解が欠かせないでしょうし、プログラマーを始め装飾のデザインとかけ離れた役職の方と密接に仕事することも少なくありません。また、デザインという一目見ただけでは分かり難い価値をどう人に伝えるのかという説得力が必要でしょうね。そして自分のデザインの領域を守る力も必要なのかもしれません。これは頑固に自分のデザインを通すという意味ではなく、デザインの決定において重要な部分はデザイナーが保持するよう努力することなのかな。

もちろん、デザイナーによる失敗はデザイナーによるものだけはありません。デザインの知識がない方がデザインの決定権を持たないような組織作りだけでなく、デザインの知識を共有することも重要です。またビジネス寄りの視点への理解をデザイナーが理解しやすいように、プロセスの最初からデザイナーが現場にいることも理解を深めるきっかけになると思います。

Berkun氏の資料は回答はなく、問題提示のみではありますが、考えて行くべきポイントが見えてきますね。こうした話題を個別でポッドキャストでインタビューするのもおもしろそうです。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

(@yhassy)

デザインやコンサルティングを通じてWebの仕事に携わる活動家。Webとデザインをキーワードに情報発信をしているだけでなく、各地でWebに関するさまざまなトピックで講演を行ったり、多数の雑誌で執筆に携わる。

この記事のコメント

  1. 1

    nekohito

    失敗する理由を1点考えてみました。

    (理由)
    情報アーキテクチャの視点から考察することの欠如
    (時間的に足りない、スキルが足りないなどの理由から)
    WEBサイトが持つ、伝えるべき情報を分かりやすく整理しきれていないまま制作
    (結果)
    サイト構造が複雑化し、的確な表現方法を具現化できないまま終わる場合が多い

    デザインを決定づける理由の部分ですがどこを1番に見せるべきか、
    メニューはどうあるべきか、
    どこを何色にするべきかといった部分ですが
    「こういう色でこういうサイト」という希望がたくさんあってピックアップすると
    後から意見がクライアント、ディレクション、マークアップエンジニア、デザイナー、プログラマーそれぞれからズレが生じて手戻りの原因になりやすいですし
    手戻りすればデザインがさらに失敗する可能性が上がります。

    2008年10月22日 4:39
  2. 2

    IKD

    はじめまして。

    ウェブサイトの場合は何を持って失敗かという判断が難しいですよね。橋の例の用に分かりやすい失敗って何だろう?と思います。

    最近のウェブサイトのプロジェクトを例にとると、企画・システム・情報構造・グラフィック・プロジェクト自体などデザインしなければ行けない領域がだいぶ広がっていて、全体をコーディネートするのは、それ自体がかなり難解な気がします。

    2008年10月22日 2:45
  3. 3

    ヤスヒサ

    @nekohito
    サイト構造 / 情報構造が複雑化してきているのもそうですが、制作サイドの構造も複雑化になればなるほど、今まで伝わっていたものが伝わらなくなっていくのかもしれませんね。

    @IKD
    こちらこそ、はじめまして。
    尺度のひとつにアクセス解析や利用者からのフィードバックで得たデータかもしれませんね。サイトを作るって会社にひとつの部署を作るようなものだと思います。大きくて複雑なことですから、縦割り式の構造でのサイト構築は難しいのではないかと感じています。

    2008年10月23日 2:20
  4. 4

    petit-lis-blanc

    初めまして。
    どうもWEBというのはシステムに近いものであるにも関わらず、『設計書』がきちんと書かれないでGOすることが多いのも、現況のひとつのような気がします。とくに、ユースケース図や業務フローなどの、上流工程での設計書が少なく、いきなり画面のレイアウトから着手してしまっているケースが多いようです。
    多くの人達が関わるプロジェクトならとくに、みんなで認識が合わせやすい設計書が必要だと思っています。

    2008年10月27日 11:36
  5. 5

    ヤスヒサ

    @petit-lis-blanc
    仕事に携わる様々なレイヤーの方が分かる『地図』は必要でしょうね。それがデザインゴールだったりビジネスゴールだったりいろいろだと思いますが、実際作るための設計書だけでなく、目指すべきビジョンが共有出来る別の設計書も必要なのではないかなと思います。

    2008年11月2日 6:16

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