すべては一文字書くことから始まる

誰かの役に立つコンテンツを書くのも重要ですが、何よりも自分のために書くことが根底にあるべきではないかと思っています。自分の場所、自分のメディアですから読者のことはあとで考えればいいのです。

「だからなに?」

Web 上で情報発信をしている方であれば、一度は頭に思い浮かべる言葉だと思います。知名度もない実力もない自分が、わざわざ外に向けて発信することに何の意味があるのだと。

今でも自分の文章が上手いとは思いませんが、昔は下手でも気ままに書いていました。2002年の記事を掘り起こしてみたところ、大学の演劇を見にいったときのことを書き残していました。以下はそのとき書いた日記の一部からの引用です。

僕が演劇が好きなところのは、ステージという限られた空間の中での演出や場面の変化を一望できるところです。ひとつの『場面』でもいろいろなことが同時進行していて、見方によってはいろいろ楽しめるという舞台ならではの魅力があるからかもしれません。

当時はまだ米国に住んでいて、ある制作会社で Web デザイナーとして勤務していました。ビジュアルデザインだけでなく、 HTML/CSS/JavaScript は毎日何時間も書くという生活をしていました。演劇に関する日記を書いたおよそ 2 年後に CSS の書籍を出版しているので、最先端と呼べる知識はあったと思います。しかし、ブログには仕事に関わること、読者に役に立つことはほとんど書いておらず、上記のような日常を書き残す程度でした。文章もどこか上から目線で荒さがありましたし、いろいろな背景の方が読むことを気にしていませんでした。

当時の文章がよかったとは思っていませんし、中には大変失礼なことを書いたと感じるものもあります。ただ、今と比べて何も気にせず書いていましたし、書き残すことが何よりも楽しかったです。

気楽であることは、続けて何かを発信し続ける上で重要なこと。もちろん、読者のことを考えて、役に立つもの、共有したくなるコンテンツを出すように心がけていますが、読み手のことを考え過ぎて自分の書くモチベーションを削り取ってしまうことがあります。

  • 「こんなこと書いても仕方ない」
  • 「こんな内容、何も役に立たない」
  • 「誰も分からないことを書いても仕方ない」
  • 「同じことを既に誰か書いている」
  • 「他の人のほうが上手に書いている」

特に近年、質の高いコンテンツをあちこち見かけるようになったおかげで、書くことの敷居がますます高くなっているかのように見えます。しかし、その敷居は自分で作り出しているだけで実際は存在しません。

何かを発信しないと誰も気付いてくれませんし、発信しないと自分の考え方も内向化していきます。

例えば CSS Flexbox を学んだのであれば、何を学んだのか書くだけでも良いと思います。もちろん、見渡せばものすごく詳細な解説記事が見つかります。詳細度は勝っているかもしれませんが、そこには書き手であるあなたの視点は存在しません。説明の仕方、つまずくポイントは人それぞれですし、その人しか書けないことがあります。

誰かの役に立つコンテンツを書くのも重要ですが、何よりも自分のために書くことが根底にあるべきではないかと思っています。ブログのようなパーソナルな場であればなおさらです。まずアウトプットすることで、自分の考えを整理することができます。頭の中でボヤりと考えていたことを実際書き出してみると、ちょっと違うこともあります。その差異を発見するだけでも大きな意味があります。

デザイナーでも自分のデザインの意図を説明するために文章力が必要になります。文章力を高めるにはとにかく書き続けるしかありません。書き続けるには、自分が楽しいと思えることを書き始めるのが一番です。

肩の力を抜いて、まずは書いてみませんか? 自分の場所、自分のメディアですから読者のことはあとで考えればいいのです。

筆者について

Experience Points

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