メディアの消費の仕方の進化

2008年8月6日 3:58 am

テクノロジーの発展により人々は多くのメディアを消費出来るようになってきました。グーテンベルクが活版印刷技術を発明することで、多くの人々が文字にアクセス出来るようになった 15世紀から、テクノロジーがメディアの流通に大きな役割を果たしてきたといえると思います。

より個人的な体験へ

文字、映像、音声と様々なメディア媒体がありますが、共通しているのが、テクノロジーが発展していくにつれて徐々にパーソナルな体験へ移行しているという点です。書籍も昔は値段が高く数も少なかったので、ひとつの本を共有して読書していましたが、今はひとりで何冊も持っており、いつでも何処でも本を持ち出して読むことが出来ます。

テレビにしてもそうですね。
最初はひとつのテレビに家族が集まって視聴していましたが、テレビも安値で小型のものが登場するようになり、ひとつの部屋に1台テレビになるほど普及しました。そして今は携帯機器にテレビが実装されているので、書籍と同じように場所を選ぶことなくメディアを楽しめるようになりました。

つまり、今のメディア / コンテンツの楽しみ方というのは個人的な体験になってきているということです。ひとつのコンテンツに向き合っているのは 1人だけという 1:1 の関係になっています。日常生活ではこうした個人的な体験が多くなってきているので、映画館みたいな大人数で同じ空間を共有しながら同じコンテンツをみる場が新鮮に感じることがあります。テクノロジーが多くの方にメディアを流通させたと同時に、より個人的なものになりました。

evolution of media consumption

ウェブが逆転させた体験

テレビも今や個人的な体験のデバイスと呼べるようになってきましたが、パソコンや携帯電話は最初から個人的にメディアを消費するためのデバイスです。個人的な体験という意味では、場所や時間を選ばない携帯電話は究極の形といっても良いかもしれません。では、パソコンはテレビの進化版で、携帯電話はテレビのモバイル版といったらそうではありません。物理的な体験は似ていますが、そこで得ている体験はテレビをはじめ従来のメディアとは対極の場に存在するデバイスだと思います。

その理由はパソコンや携帯電話はウェブへ繋がっているという点です。

ウェブは「ひとつの大きなマシン」と表現されることがあります。何処にいようとも何からアクセスしようとも、ウェブにある情報を消費することが出来ます。ウェブにある情報は大企業が発信しているものもあれば、個人が情報を発信しているものまで様々です。個人とはつまり、あなたとあなたの知人も含まれています。ウェブにアクセスすることさえ出来れば友人や家族と体験を(リアルタイムではない場合が多いですが)共有することが出来るわけです。

ウェブを使っている方にとっては当たり前ですが、この部分が今までと大きな違いで、多くの方が人とのコミュニケーションのためにパソコンや携帯電話を使いっているひとつの理由だと思います。デバイスを使うときの状態は個人的なものではありますが、体験の共有は一概に個人的なものとはいえず、今まで以上に多くの方と一緒になって共有・共感しているわけです。

もちろん実際に会って体験を共有するほうが良いですが、ウェブを利用する以前で今のように多くの方と繋がり続けて、コミュニケーションをとることが出来たのでしょうか。当たり前になった今でも驚くべきことだと思います。

今での媒体と同じようなアプローチをウェブで再現するときに、この体験の違いを踏まえていない場合があると思います。一見、書籍やテレビのように個人的で一方的な体験のようにみえるパソコンや携帯電話ですが、デバイスを利用している方の実際の体験は個人的なものではないわけです。外見では分かり難い部分ではありますが、大きな違いです。

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コメント

  1. tazuke Says:

    ウェブによる「体験の共有」については同感です。
    ウェブ関連の媒体が出現する以前の時代には、とうてい直接知り合うことができなかった方と、知識や体験の共有をもってお互い個人が交流することができるようになったことは、大きな違いであり素晴らしい変化だと思います。
    事前にウェブでその方の背景や考え方などベースとなる基本情報を得て、コミュニケーションのきっかけを掴んでから、直接会うことにより「体験の共有」は、身体感覚を伴う「共感」へとさらに意義のある強固なものになっていくのだと思います。

  2. ヤスヒサ Says:

    @tazuke
    オフ会があるときに「初めてのような気がしませんね」という言葉をよく耳にしますが、バーチャルではあるものの、体験の共有があったからこそだと思います。体験の共有から共感へ繋がるからこそ、みなウェブを通じてコミュニケーションをしているのかもしれませんね。

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