デザインの話をするときに気をつけたいこと

様々な専門家が関わるからこそ、自分のデザインを売り込まなければ理解されないことがあります。デザインの意味や感覚を理解させようと努力するのではなく、プロジェクトのゴールとの関わりについて語れるようになると、デザインの評価の仕方、され方が少しずつ変わるでしょう。

違う人たちとデザインを語る

デザイン批評は、とても難しいですが、目を背けることもできない課題です。前回のセミナーで、批評のときに使う言葉遣いを紹介したものの、フォーカスをズラさず会話を進めるのは至難の業です。デザイナーだけが集まる場や、長く仕事をしている間柄であれば感覚で伝わることがありますが、そうでない場面はたくさんあります。結局のところ、デザインは主観的なところが多いわけですから、様々な背景の人たちが集まる仕事場でデザインの意見が分かれるのは当然なのかもしれません。

さらに批評を複雑にしているのが、手を動かしているデザイナーだけにデザインを任せるのは困難というところがあります。IDEOの Time Brown 氏が TED の講演で「デザインはデザイナーだけに任せるには重要すぎる」という言葉を残しています。今のデザインは利用者だけでなく、ビジネス、市場、文化、技術への理解が不可欠です。利用者が求める『理想』を目指すだけでなく、実装可能・持続可能なプロダクトを作らなければならないわけですから、様々な専門家からのフィードバックが欠かせません。

そのなかにはデザインの教育を受けていない人もいるわけですから、デザイナーからみて『根本的に違う』という人とデザインについて話すことは避けることはできないわけです。

自分のデザインを『営業』する

様々な専門家が関わるからこそ、自分のデザインを売り込まなければ理解されないことがあります。これは対クライアントだけではなく、社内向けでも同じです。「すごいね」「かっこいいね」だけでは通じないことがあるわけですから、別の切り口から自分が提案しているデザインが優れているのかを理解してもらう必要があります。

デザインを営業するためにしておきたいことが 3 つあります。

予習をしておく
クライアントのプロフィール、市場調査、アクセス解析などデザインに入るまえに得られる情報はすべて目を通しておいたほうが良いでしょうし、それらを基にしてデザインをしていることを伝える必要があります。
数字を見せる
良くも悪くも数字は強いですし、強力な説得材料になります。私のプレゼンテーションでは、よく冒頭に数字を紹介することがありますが、これも説得力を高めるためのひとつの手法だと考えています。また、紹介した数値を自分のプレゼンテーションに活かして欲しいという思いもあります。
舞台裏を見せる
提案しているデザインを細かく説明する必要はありません。見えているものを説明するのではなく、なぜ今の見た目が残ったのかを説明しなければいけません。幾つかの選択肢の中から、これがプロジェクトにおいて最適であり、成功へ導くものであることを理解してもらいます。

デザインを営業したからといって、即に買ってくれるとは限りません。フィードバックがあるからこそ、デザインが洗練されるわけですから、必ず人々の声に耳を傾けることになります。しかし、参加者全員が的確な批評をするとは限らないので、自分で整理しなければならなくなります。

グループ分けをする
ひとりが「ちょっとトーンが柔らかい」と言えば、別のひとは「少し女性っぽさが欲しい」と言った具合に、人それぞれ違った言葉とニュアンスで感想を述べます。広くフィードバックを募集するとなおさらです。まずは、フィードバックをグループ分けをして、フィードバックの全体傾向を把握することから始めます。そうすることで、説明が足りないところや、模索が必要なところが見えてきます。
すぐアウトプットする
時にはフィードバックを受けている最中にアイデアを出したほうが良いことがあります。意見を整理して、じっくり作り直すのではなく、ラフなスケッチを描いて見せるのはどうでしょう。誤解が解けたり、自分では気づかなかったアイデアが生まれることがあります。下手でも良いので、作り込まないで出す練習をしておくと良いでしょう。
時には経験を信用する
すべてのフィードバックが反映しなければならない項目であるとは限りません。経験を積んでいると、何がうまくいって、何がうまくいかないのか分かることがあります。フィードバックを「やらなければならない作業」と見なさず、自分の経験と照らし合わせて判断したほうが良いでしょう。

デザインの批評は、ディレクターのようなプロジェクトを進行するような役割の方が努力すれば改善するものではありません。デザイナーの歩み寄りが欠かせませんし、デザインの売り方を身につける必要があります。デザインの意味や感覚を理解させようと努力するのではなく、プロジェクトのゴールとの関わりについて語れるようになると、デザインの評価の仕方、され方が少しずつ変わるでしょう。

筆者について

Experience Points

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