なぜ自信をもってデザインを説明するべきなのか

信頼とは、対話と成果物によって少しずつ積み上げていくものだと思います。対話を止めないこと。相手をねじ伏せるのではなく、相手の見解を知ることから信頼のための対話がスタートすると思います。

コラボレーションは難しい

コラボレーションは今日のデザインプロセスにおいて必須です。様々な分野の専門家たちが集まるからこそ、より良い製品へと進化していきます。専門家だからこそ出せるインプットによって、最適な解決策が見つかる … はずなのですが、実際そうはいかないことがあります。立場が違えば、物事の捉え方も違います。それぞれが置かれている状況によって、意見が分かれることがあります。意見が一致すればコラボレーションとしての相乗効果が生まれますが、そうでないときは、不平や妥協する人が出てくるでしょうし、最悪の場合は製品の利用体験を損なうものを実装してしまうこともあります。

コラボレーションは響きの良い言葉ですが、一筋縄にはいきません。意見が合わないとき、私たちはよく自己防衛の姿勢になりがちです。「これは違う」と言われると、反射的に「そんなことはない」と言うことがありますが、こうしたやりとりがコラボレーションの歯車を狂わしていきます。自分を守ること、相手の意見を変えることが先決になり、肝心の課題解決の話し合いではなくなっていきます。こうなると以下の 3 パターンで話に決着が付いていきます。

  • 多数決 – 皆が欲しいものを平等に受け入れたり、投票をした結果で進めてしまう場合。らくだをデザインしていることがあるかもしれません。
  • 声が大きい人 – 「これはどうしても必要だ!」と声を大にしている人が押し通してしまう場合。
  • 上司の言葉 – ひとつひとつ積み上げていたプロセスも、上司の一言ですべてひっくり返る場合。

課題解決のための話し合いが、自分のアイデアを採用してもらうための弁護の場になってしまうことがあります。これが粗探しになったり、「こっちのほうが良いじゃないか」という突発的なアイデアがなぜか通ってしまうことになります。こうした状況から抜け出すのは簡単なことではありませんが、対話を避けては先へ進むことはできません。

はっきり述べることの重要性

対話とは、相手のことを理解することと、誤解を解くためにあると考えています。意見が行き違うときの多くは、言葉の使い方が違うことによる誤解ということがよくあります。言葉はどのようにも解釈することができます。相手に「こういうふうに理解してもらいたい」「こんなふうに受け取ってもらいたい」と思っても、そうはいかないわけです。

相手の理解をコントロールすることはできませんが、言葉ひとつひとつを明確にしておく必要があります。それは、説得力のあるフレーズを使いこなすという意味ではなく、相手に望んでいるフィードバックが来るように言葉を選ぶことです。それは自信をもって話すことでもありますし、事実や専門知識に基づいて話すことでもあります。

対話におけるデザイナーの役割は、自分たちが作っている製品(Web サイトやアプリ)と、それを使う人たちへのフォーカスを緩めないことです。もちろんビジネスの成長のためにコミットをすることは重要ですが、デザイナーの仕事は良いモノをデザインすることです。それは利用者のもつ課題の解決であったり、目的を達成できるためのものであるべきです。しかし、作るだけでは十分ではなく、それを同意にもっていくための対話が必要なわけです。

デザイン批評を始める際に気をつけることと同じですが、自分のデザインを伝えるために 3 つの質問に答えれるようにしておく必要があります。

  • どのような課題を解決しようとしているのか?
  • そのデザインは利用者にどのような影響を及ぼすか?
  • 他の案より優れているところは何か?

デザインを見せるときに、これらの質問には答えられるようにしておきたいところ。もちろん、答えられるように準備したからといって、突然対話がスムーズになり、意見の違いが起こらないコラボレーションが発生するわけではありません。しかし、会話がおかしな方向へ進むのを防いだり、本質的ではない決め方にならないようにするために、「専門家である私の見解です」ということを言葉と態度で示す必要があります。

まとめ

自信をもって対話をすればすべてがうまくほど単純な話ではありません。こうして文章で説明するのと、実践するのは大きな差がありますし、正論を言えば通るのかといえばそうではない場合があります。しかし、対話をすることを諦めると、いつまで経っても状況が変わることはありません。

「なんかよく分からないけど、君が言うならデザインは任せるよ」と言ってもらえるのが理想的です。しかし、信頼がなければそんな言葉は出てこないでしょうし、信頼とは、対話と成果物によって少しずつ積み上げていくものだと思います。対話を止めないこと。相手をねじ伏せるのではなく、相手の見解を知ることから信頼のための対話がスタートすると思います。

筆者について

Experience Points

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