性別選択UIにあるデザインの課題

私は男性として生活をしています。
ソーシャルメディアなどにプロフィールを記載する場合は「男性」を選択しています。女性であればプロフィールに「女性」と選択して、自身を「女性である」と考えるでしょう。

こうした性別選択は、多くの方にとって当たり前すぎて深く考えないことです。しかし、こうした自分を表現する小さな部分にも課題は隠されています。人によっては「男性」「女性」という分類に当てはまらない方もいますし、それを特定の人にしか公表したくないという場合もあります。自分のジェンダー(gender, 性)は男性でも女性でもなく、「〇〇である」と意思表示をしたい方。自分の意向に合う呼ばれ方をしたいと考える方もいるはずです。

Facebookの性別選択画面

この課題に取組んでいるソーシャルネットワークを幾つか見かけるようになりました。男性、女性のという選択肢だけでなく「カスタム」という項目を用意し、そこに自分の性を表すのに適切な言葉を自由に記入することができるというアプローチです。

日本語版Facebook の性別選択画面

例えば Facebook の場合、誰に対して自分の性を公表するかを決めることができるだけでなく、自分をどのように呼ばれたいのか「him」「her」「them」を選ぶことができるようになっています。残念ながら、2016年1月現在、米国版しかこのインターフェイスを確認できませんでした。日本版の UI には、男性、女性と 2 つの選択しかなく、タイムライン上に表示するかどうかは決めれますが、公開範囲は設定できませんでした。

Pinterest 性別選択画面Pinterest の設定画面

Facebook のように地域限定で実装しているところもありますが、Pinterest や Flickr のように他言語で既にサポートしているところもあります。特に Flickr の場合「Rather not say (言いたくない)」といった選択肢も用意しているのは興味深いです。

Flickr 性別選択画面婚姻状況に「Open」がある Flickr のプロフィール設定画面

上記に紹介したサービスのいいトコ取りをしているのが Google Plus。カスタムだけでなく、記入することを拒否することができますし、どのように呼ばれたいかという部分も自由度が高いです。

Google Plus 性別選択画面

このように自分を表現するための手段が用意されていることは素晴らしいですが、そもそもなぜ性別といった個人情報の入力が必要なのか不透明なことがあります。 Pinterestの 法律とプライバシーには、個人情報がどのように扱われているのか説明されているだけでなく、それを拒否する方法まで丁寧に書かれています。Facebook にも Data Policy のほうで似たような説明がされています。この 2 サービスの良いところは、従来からある読みにくくて長いだけのポリシーと規約とは異なり、情報が整理されている点。読み飛ばす場所ではなく、少しでも読んでもらいたいという意思が伝わってきます。

何気なく通り過ぎてしまうところに、大きな課題が隠されていることは多々あります。すべての人に気持ち良くサービスを利用してもらうことが理想的ですが、なかなか難しいこともあります。しかし、小さなところから少しずつ積み上げていくことが、より多くの方に使ってもらうサービスへ成長していくのでしょう。

【参考】inUse AB で UX Strategist として活躍している Sara Lerén さんが同トピックを扱ったライトニングトークをしています。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。