Peach🍑から学ぶデザインに関わる4つの傾向

使いやすさというデザイナーとしての向き合わなければならない課題はありますが、漠然とした楽しさも同じくらい重要だということを Peach は教えてくれます。

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いろいろ学びがあるPeach

Peach というアプリ、ご存知ですか?
Vine の創始者として知られている Dom Hofmann の新作。ひとことで言い表すとメッセージアプリですが、チャットと言うより、ステータスアップデートをメッセージ形式で更新できるアプリ。小さな情報を気軽にやりとりするという Vine、そして同じチームが開発している Byte と重なるコンセプトです。

今年の CES は 1 月 6 日から 9 日まで開催されましたが、イベント期間中に合わせてリリースしたというタイミングも絶妙。リアルイベントとソーシャルメディア両方で広がった印象があります。知り合いの『今』を知るためのアプリなので、 CES のように多くの方が一箇所に集まるイベントとの相性が良かったのかもしれません。

もちろんデザインについて Peach から学べることは幾つかあります。

コンテンツのメッセージ化

Peach を使って最初に抱いた印象は「ホームページがメッセージになった」でした。昔のホームページは幾つかのページによって構成されていましたが、Peach は、小さなメッセージの集合体で十分だと提案しているように見えます。2年前にコンテンツはカードのように小さくパッケージされると予測しましたが、それを体現しているのが Peach です。

小さなスクリーンで消化しやすい情報量はどれくらいで、どういった形状がふさわしいでしょうか。より小さく、よりポータブルにすることはコンテンツクリエーターとしても、デザイナーとしても大きな課題です。

絵文字😄が世界を変える

LINEスタンプのような独自仕様のコミュニケーションも根強い人気がありますが、昨年は絵文字が世界的に市民権を得た年だと思います。クロスプラットフォームで使えるだけでなく、どのアプリでも同じように使えるのが人気の秘密。今年中に出るといわれている Unicode 9.0 では、さらに多くの絵文字が追加されるそうです。

Peach でも絵文字はたくさん使われています。今までイラストやアイコンで表現していた部分に絵文字が入っていますし、Peach で行われるコミュニケーションでは絵文字が主要言語になっています。

Peach UI

Peach だけでなく、他のソーシャルネットワークでも絵文字は広がる可能性があります。例えば Instagram は既に絵文字ハッシュタグを実装していますし、Twitter でも絵文字は重要なコミュニケーションツールです(絵文字ハッシュタグは今のところ未実装)。絵文字が今後のデザインにどう影響を及ぼすのか楽しみです。

言葉で印象が変わる

コマンドライン、ショートカットと言われると難しそうな印象がありますが、マジックワード(魔法の言葉)と言われると面白そうですし、覚えてみようと思えるかもしれません。Peach の特徴のひとつであるマジックワードは、他サービスにもあるコマンドとまったく同じです。独自用語は混乱を招くリスクがありますが、ここではうまく機能しているように見えます。言葉は大事なインターフェイスだということを思い出させてくれます。

例えばこんなマジックワードを唱えると、テキスト以外のメッセージが投稿できます。今使えるすべてのマジックワードが知りたい方はサポートページをご覧ください。

Shout at Peach「shout」を使うとこんなかんじ

  • gif アニメGIFを投稿
  • shout 大きな文字で表現
  • throwback ランダムでカメラロールから写真投稿
  • draw フリーハンドで絵を描いて投稿
  • rate 何でも五段階評価して投稿
  • mood 今の気分を絵文字付きで投稿

秘密の機能って知ってる?

多くのユーザーにとって分かりやすく、操作がしやすい UI にすることが基本ですが、それがすべてではありません。実はホームボタンを長押しすると秘密の機能へアクセスできるようになっています。普通に使っているだけでは気付かないわけですが、その教え方が巧妙です。

Peach から不定期にニュースレターが送られてきますが、そのニュースレターの件名に「+ a secret at the end (最後に秘密があるよ)」と書かれていました。気になって最後まで読んでみると、先述した秘密の機能へアクセスする方法が。ニュースレターを読ませる上手いやり方ですし、試しにアプリを開いてみるキッカケにもなっています。

ニュースレターの他に、アプリのリリースノートに使い方や開発者側のメッセージを盛り込む方法があります。例えば Medium だと架空のレシピが書かれているなど、読み物として面白いものも少なくありません。アップデートをひとつのコミュニケーションと見なすことで、利用者と新しい関係を築くことができるという好例です。

まとめ

Peach は特別使いやすいアプリでもなければ、斬新なところもありません。しかし、随所に見られる工夫から「楽しさ」が伝わってきます。楽しみながら作ったアプリのように見えますし、それを使う人も同じように楽しく使うのだろうと想像します。使いやすさというデザイナーとしての向き合わなければならない課題はありますが、漠然とした楽しさも同じくらい重要だということを Peach は教えてくれます。

筆者について

Experience Points

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