Keyword検索

探索的検索という違う時間の流れ

2009年10月23日 2:13 pm

検索とひとことで言ってもいろいろな形があります。私たちが Google などでキーワード検索するときは、答えを導き出すためのキーワードが分かっている場合がありますが、いつもゴールへの辿り着き方が分かるとは限りません。ゴールが何か明確でない場合もありますし、辿り着くためにまずは関連情報を学ぶ必要があるかもしれません。閲覧 (Browse) と検索 (Search) が合わさったような利用者の行動を Exploratory Search (探索的検索) と呼んでおり、ここ数年様々な研究・調査がされています。概要が知りたい方は Wikipedia の記事が参考になります。 今すぐ欲しい情報を探すのであればキーワード検索でも十分ですが、調査、仕事のプロジェクト、ライフプランなど中・長期に渡って探し続ける情報をいかに補助するかが課題です。今でもブックマークを使ったりメモソフトを組み合わせることで管理が出来ているものの、別の解も考えられます。探索的検索を理解することが出来れば、キーワードから導き出されるサイトを提示するのではなく、利用者にとって意味がある情報が上位になるようなパーソナライズ化がさらに進むと思います。 もし何か調査をしているのであれば、ひとつ前に検索したキーワードが今検索しているキーワードの結果に影響しても良いと思いでしょう。今検索しているキーワードが数日前に検索した別のキーワードの関連しているのであれば、そこから答えや経路を提案しても良いでしょう。ユーザーがコミュニティに属しているのであれば、他のメンバーが検索で導いた答えやメモを参考にすることが出来かもしれません。 探索的検索ワークショップ 昨年、 National Science Foundation が Information Seeking Support Systems Workshop という探索的検索に特化したワークショップを行いました。探索的検索を実現するためには3つの課題があるとワークショップで挙げられています。 より強固な人と情報のインタラクションモデルの形成 様々な形の情報探索を補助する新しいツールやサービス 情報探索の評価するためのテクニックやメソッド ワークショップでは答えが導き出されたというより、今後の研究・調査への糸口が見えたところで完結しています。参加者は大学で研究している方だけでなく、Yahoo, IBM, Google, Microsoft といった企業も参加していたので、今後何かしらの形で反映されるのかもしれません。アカデミックと企業が共同でワークショップは以前「IntelとNokiaが学生と一緒に考えたデザイン案」で紹介しましたが、羨ましいですね。憧れます。 今後の情報の見せ方 Webサイトのデザインはこうした探索的検索に対してどのように応えることが出来るでしょうか。利用者が頭の中で描いている「答え」と、目の前にある Web サイトのラベリングは一概にマッチしているとはいえず、彼等は頭の中でそのギャップを埋めたり関連付けする作業を行っています。ギャップによる混乱を避けるために、検索という頭の中にある答えをすぐに書き込める機能があるわけですが、今回のような探索的検索には検索ボックスの追加だけでは十分ではありません。 探している情報に辿り着きやすくするために邪魔になるものは排除しなければいけませんし、辿り着くための道筋も作らなければいけません。1ページ1コンテンツにしてサイトを整理する意味がより出てくるでしょうし、1コンテンツを構成しているマイクロコンテンツ(専門用語・タグ・ハイパーリンクなど)が他のコンテンツとの関わりも示すと便利かもしれません。CMSによりコンテンツをデータベース管理が出来るようになりましたが、今後はその中にあるコンテンツをいかにインテリジェントかつダイナミックな情報としてページに表示させるかが課題だと思います。 先月のセミナーでも話しましたが、人は Web サイトを探しているのではなく、情報を探しています。情報を探すという最初のステップは検索エンジンに任せても良いかもしれませんが、その後のケアを提供出来るかがサイトの価値のひとつになります。利用者のその瞬間のニーズにどう応えるかに注目していましたが、中・長期という別の時間軸が加わることでデザインに別の価値が加えれるのではないかと探索的検索を調べて思いました。

bingのデザインアプローチについて

2009年8月20日 8:20 pm

6月に公開された Microsoft の新しい検索サービスbing。先日 comScore が発表した検索エンジン市場の調査報告書によると、7月が公開月に比べてシェアが 5% 増だったそうです。公開されたばかりということもあり、試しに使っているという方も少なくないでしょう。今後どうなるか分かりませんし、吸収する形になるであろう様々な Yahoo! 検索の技術がどのように bing に影響を及ぼすかが注目です。特に自分の検索エンジンが作れるプラットフォーム BOSS や、セマンティック検索を可能にする SearchMonkey は何かしらの形で bing で移植してほしいところです。 技術的な面で今後の動向が気になる bing ですが、Google やYahoo! Search といった今までの検索サイトと異なるデザインアプローチをとっている点で私は注目しています。トップページを見るとわかりますが、他の検索サイトに比べて非常にグラフィカルです。検索結果はシンプルですが、ページ上位にはグラデーションがかかっています。他の検索サイトはサイトの色を極力削いで、検索結果をインターフェイスとして扱っている印象がありますが、bing はサイトそのものにも性格があると思います。マイクロソフト的なデザインにしているのではなく、bing としてのブランドを作ろうとしている姿勢がみられます。 提案する検索 常に能動的なアクションを要する検索サイトですが、bing では少し違う捉え方をしています。もちろん、能動的なキーワード検索が主軸にあるものの、bing 側からの提案をする能力もあります。例えば「New York City」と検索すると、関連キーワードの提案だけでなく、「天気」「職」「ホテル」など利用者が探している可能性があるキーワードと結びつけて結果に反映してくれます。さらに、ホテルと絞り込んでいくとホテルのリストに適したインターフェイスに切り替わり、さらにそこから値段やレーティングの絞り込みが出来るようになっています。こうした一連の流れがシンプルなキーワードからどんどん繋がって行くのはおもしろいです。 bing のトップページに大きなインパクトを与えている写真も実は毎日変更されており、マウスオーバーすると写真に関係した気になるキーワードが表示され、検索へ繋がるようになっています。英語サイトと同じ場合がありますが、日本独自の写真のときが多く、旬な話題を取り上げていることもあります。キーワードをあらかじめ提示して、そこからいろいろ探してみるというこのアプローチ。他の検索サイトでも「人気キーワード」をリストしているところがありますが、写真というコンテンツから繋げるというやり方はあまり見られないですね。 検索「サイト」のこれから Google の検索結果に比べると、精度が劣る印象がありますが、それでも興味深い検索サイトであることには変わりない bing。1,2回使っているだけでは「使える」「使えない」というのは判断出来ないので 1週間くらいずっと bing を使っていましたが、便利だなと感じるシーンは何度かありましたし、スピードは申し分ないのでストレスなく使えました。とはいうものの、今はまた Google に戻っています。 理由は bing の検索結果に満足いかなかったというより、今までの習慣から抜け出せなかったからです。Google をもう数年ディフォルトとして利用しているので、Google 的な感覚が身に付いてしまっているのでしょう。いざ他のを試してもちょっとした違和感があったり、考えてもないのに「google.com」と記入してしまうこともあります。他のサイトやツールにもいえますが、利用者がもつこうした『ディフォルトの行動』を変えるのは難しい課題です。1,2度使ってもらうだけでなく、持続して使ってもらいつつ、高い満足度を維持しないと、すぐまたディフォルトに戻ってしまいます。 利用者のディフォルトの行動が固定してしまう理由のひとつに、検索はすでに「サイト」ではない点にあります。恐らくあなたも検索サイトに訪れて検索しているのではなく、ブラウザの右上にある検索バーから検索していると思います。ここを変えない限りはディフォルトの行動の変化も起こらないでしょうし、新しいサービスの習慣化もありません。他のタイプの Web サイトにもいえますが、素晴らしいサイトを作り上げて利用者が訪れるのを待ち構えているのではなく、利用者に近づくためには何が出来るのかを考えていく必要がありますね。 今後、(開発者も含めた)利用者に近づくために bing はどのような手法やサービスを展開していくのか楽しみです。

ヘルプメニュー検索を使って楽々選択

2008年11月27日 8:31 pm

アプリケーションの起動や簡単な操作、そしてファイルナビゲーションは QuickSilver で問題ないですが、各アプリケーションでの詳細な操作をするにはあまり適していません。例えば Photoshop のように何階層もメニューがあるアプリケーションは大変です。QucickSilver でも、Proxy Objectと組み合わせることによって、なんとなくメニューを辿ることが出来ますが、使い勝手が良いともいえないですし、可能な限りビジュアルで操作したいところです。 Mac OSX Leopard で実装された数々の機能の中で結構使えるのが、ヘルプメニューの検索です。これは起動しているアプリケーションに特化した検索で、「Cmd⌘+?」で呼び出すことが出来ます。ヘルプファイルの検索だけでなく、同じキーワードがあるメニューも表示してくれるようになっていて、実際そのメニューが何処にあるのかも見せてくれます。選択後、「Return」を押せば実行も出来ます。 アプリケーションによって「Cmd⌘+?」が別のアクションに割り当てられている場合がありますが、多くの場合このコマンドを利用することが出来ます。例えば Photoshop でも「反転」と書いただけで、使いたいコマンドをすぐに見つけ出すことが出来ます。 使いたいコマンドがメニューのどの辺にあるのかを詳しく覚える必要がなくなる便利な機能です。Safariだと、メニューだけでなくブックマークや履歴もヘルプメニューの検索から探し出すことが出来るようになっています。 Webサイト開発者にとって見ているページが他のブラウザでどう表示されるのか気になるところ。Safariのヘルプメニュー検索にブラウザ名を書き込めば、すぐに別ブラウザを呼び出して同じページを開くことが可能になります。 似たようなことは QuickSilver で出来ますが、QuickSilverなしで手軽に出来るのが良いところ。「Cmd⌘+?」はぜひ覚えておきたいショートカットのひとつです。

年々検索されなくなっているユーザビリティ

2008年9月29日 5:19 pm

検索語を比較・解析する Google Trends というのがありますが、それとは別で Google Insights というツールがあります。地域・時間枠などで検索語の傾向を調査出来るのが特徴です。ウェブマーケティングに役立ちそうなツールですが、検索をする人たちの趣向と自分の興味がどれだけマッチしているのか確かめるのにも使えそうです。 試しに「interaction design」「web analytics」「information architecture」「usability」というウェブサイト制作において重要なキーワードを入力してみました。以下がその結果になります。世界全体で調べた比較グラフ 日本語で同じように書くと違う結果になるかもしれないと思い、今度は「インタラクション」「サイト解析」「情報構造」「ユーザビリティ」と入力して調べてみました。以下がその結果になります。日本語で調べた比較グラフ 全体的な傾向は国内外それほど変わりませんね。特に興味深いのが年々 Usability / ユーザビリティの検索数が減ってきているという点でしょうか。検索する人たちは年々ユーザビリティに興味を失っているのか、それともユーザビリティのエキスパートは Google を使って検索しなくなってきているのか、ユーザビリティという言葉を使わずユーザビリティに関連した詳細なキーワードを使うようになってきたのか・・・このグラフを見ただけでは答えより疑問のほうが増えてしまいそうですが、興味深い傾向だと思います。 ユーザビリティはウェブサイトデザインよりずっと前から存在しています。「観覧するウェブ」から「使うウェブ」に移行し始めている近年において、ユーザビリティはさらに重要なポジションにあると思いますが、それは一概に検索語の数には反映されていないようです。検索数が少ないひとつの理由は、ユーザービリティは知識やノウハウを共有しにくいからかもしれません。例えばCSSと比較すると圧倒的な違いですし、CSSに関する記事は年々増えているようです。CSSのようなマークアップやプログラム言語はコードを書くという行為で、ある一定のレベルを保ちつつ共有することが出来ます。CSSに関していえば、ビジュアルで表現出来るので分かりやすいという部分もあると思います。 分かり難いという点は、ユーザビリティだけでなく概念としてのデザインアプローチすべてにいえる課題でしょうね。分かり難いからこそ、多くの人と意見や感想を述べて共有したい部分でもあります。すべてが密接に繋がり合ってサイトが出来上がっているわけですから、様々な視点でユーザビリティをはじめとしたウェブ用語を検証していきたいなと思う今日この頃。

セマンティック・ウェブ検索の現在

2008年4月14日 3:50 pm

セマンティック・ウェブはひとつの理想論であって現実にはほど遠いと考えていた時期がありましたが、徐々に形になってきているようです。簡易なかたちであれば、セミナーで話したこともある Microformats がありますし、Social Graph もその一環といえるでしょう。数年前に比べると随分 RDF やメタデータも増えてきているわけですが、それらを効率的に検索したり、オントロジーを利用して情報をつなぎ合わせるツールや、使いやすいインターフェイスをあまり見かけません。どうせなら hConnect のようなものを誰か作ってほしいわけですが、こうした夢の話ではなく、実際に使うことが出来るセマンティック・ウェブ検索を幾つか紹介。 Swoogle University of Maryland が開発した検索エンジン。230万の RDF を検索。オントロジー検索も可能で RDF の関連データの引き出しも可能 Yahoo! Microsearch Yahoo! が開発しているセマンティック検索。RDFだけでなく Microformats もインデックス。検索結果は通常のリストのプラスα的な見せ方になっています Falcons 7百万の RDF をインデックスしており、その中にあるデータも細かく調べたり関連付けされている。URI の文字列からも探すことが可能 Sindice 2千万の RDF をインデックス。検索結果とどのソースが検索した RDF にリンクしているかといった情報も分かる Zitgist リンクされているキーワードを元に意味のある情報を引き出す zLinks をはじめ、ユーザーフレンドリーはツールを提供している。ちなみに zLinks は WordPress のプラグインとして配布されています。 既に幾つも存在するセマンティック・ウェブ検索ですが、単なるリストの上、RDFのデータをそのまま出しているだけで非常に分かりにくいのが現状です。Zitgist が一歩リードしていますが、これからいかに生データを整形して人間にも理解出来るデータに組み替えるのかが課題になってくるのでしょうね。中には API を公開しているところもありますし、通常の検索と組み合わせて新しい価値を生み出せる可能性もあるかもしれません。

About

東京在住の「デザインする人」長谷川恭久の個人サイトです。

2008年2月より、新しい CMS を利用して再スタートしました。以前の記事はこちらのエントリーリストを。そして、たくさんの方に読まれた人気記事が読みたい方ははてなブックマークの注目エントリーを参考にしてください。

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  • 百十番: >その価値をいかにマネタイズするのかが今後の課題ですが 、 この話は、もう10年以上語られていますが今だに巧妙は見えず、 ジャーナリズムの衰退には逆に拍車が掛かっていると思います。 >硬派な分野では...
  • ヤスヒサ: @techforlearning 教育とソーシャルメディアの相性は良さそうですね。日本ではブー ムがすっかり去ってしまった Second Life ですが、海外では遠く離れた学校間のコミュニケーションの場とし て...
  • techforlearning: こんにちは。いつもYasuhisaさんの示唆に満ちたエントリ 、勉強になっています。私は学校サイトの運営をしていることから 、WebsaYoutube, Twitter, Facebook,...
  • just a reader: 元ネタからこのような意図でこのように改変します。というこの記 事そのものがよいレクチャーとなる記事です。できあがった結果よ りも、このように直すこともできますよという思考プロセス...
  • ヤスヒサ: @CalmTech プレゼンといってもスライドと喋りでワンセットなので、いろいろ な見せ方があると思いますし、今回紹介したのもそのうちのひとつ に過ぎないと思います。CalmTechさんが提案してい...