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メールがこれからも残り続ける理由

2009年11月24日 6:33 pm

Google Waveは、Web上でのコラボレーションをより効率的に行うための新しいツールになる可能性があります。今までメールでやりとりでしてきたことを Google Wave で代替することで、情報のズレや漏れを防ぐことが出来るかもしれません。Google Wave 以前からも「メールは時代に合っていない。新しい形が必要だ」と言われていましたが、依然メールは仕事においてよく使うコミュニケーションツールですし、様々なデータが添付されてくることがあります。 新しいツールを使わない(使われない)理由として Web リテラシーを挙げる場合がありますが、これも一概にいえません。RSS や Gmail を使いこなしている Web に詳しい方でもファイルはメール添付で送ってくる方がいます。「Dropbox とか便利ですよ」とサービスを紹介してもメールで添付してくる方もいます。その方は Web を基軸にした仕事をしていますし、様々なことに興味をもっていますが、メールから離れることが出来ません。なぜかといえば、メールで「ファイルを手軽に送りたい」という利用者のニーズが満たされているからではないでしょうか。 技術的な隔たりがないメール メールの素晴らしい点は、オープンスタンダードであることです。誰でも自由にメールアプリケーションを作ることが出来ますし、メールサーバーも立ち上げることが出来ます。そして、新しく作ったメールソフトを利用しても、他のメール利用者と隔たりなく会話をすることが出来ます。プロバイダーを変えても、新たにドメインを取得しても、設定さえすればすぐにコミュニケーションが出来ます。 もちろん、Twitterのようなコミュニケーションツールでも API を公開しているので、クライアントサイドのアプリケーションを作ることは可能です。しかし、サーバーサイドとなるとどうでしょうか。Twitter のようなプログラムをサーバーにインストールしても、他の類似サービスと隔たりなくコミュニケーション出来るわけではありません。 identi.ca のようなオープンソースのマイクロブログプラットフォームは開発されていますが、まだ普及までは時間がかかるでしょう。また、企業では独自のネットワークを作るニーズがあるので、大勢の方が利用しているからといって Twitter を使うわけにはいかない場合があります。 既に使い方が分かっているメール プロバイダーに入会、大学に入学、企業に入社など、まず最初にもらえるのがメールアドレスです。そして BtoB、BtoC 関係なくビジネスでの主なやりとりはメールで行われています。Facebook は 3億ユーザーいるがいわれていますが、メールはそれよりはるかに上回るでしょう。よくも悪くも多くのやりとりがメールで行われていることもあり、失った情報も、メールを検索すれば見つけることが出来る可能性もあります。 迷惑メールは困りますが、特別なソフトのインストールも必要もなければ、新しいことを一切覚えなくても使うことが出来る点でメールは多くの利用者にとって「十分に足りる」ソストであり、これからも長く残り続ける可能性があります。 メールを超えた姿とは 普及しているからといってメールがベストソリューションかといえば、そうとは思えません。Google Wave はひとつ近いところにいますが、課題も少なくありません。Google Wave が、サーバーにインストール出来るオープンソースプラットフォームを公開すれば、普及へまた一歩近づくでしょう。 Gmail が今までと違うメールの見せ方を提案したように、メールクライアントそのものに新たな提案をするのもひとつの手段です。ひとつ注目しているアプリケーションが Postbox です。一見、普通のメールクライアントと変わりませんが、トピックごとに情報を切り分けたり、添付ファイルやリンクの管理と見せ方が特有でいちはやく情報に行き届きやすい印象があります。人は突然新しい使い方に慣れるわけではないので、Postbox のような提案も良さそうです。 どのコミュニケーション手法が得意・不得意なのかは人によって異なります。「Dropbox が良いよ」と言った私は結局のところ自分にとって効率的かつ得意な手法に過ぎなくて、相手にとって本当に良い方法とはいえなかったわけです。自分が楽に使える方法でコミュニケーションを初めても相手にきちんと届くからこそメールは強力であり、今後も残り続けているのでしょう。メールの代わりになりうるサービスは幾つかありますが、サービスそのものの機能や UI ではなく、API よりスケールの大きいエコシステムの開発を視野に入れる必要はあるのかもしれません。

ブログの向こう側にある会話を追う

2008年4月3日 2:45 pm

この記事は「ブログでの会話を見えるようにするには」の続きにあたります。 従来オンライン上の会話は一元化されていました。例えばフォーラムや掲示板で会話を始めるためのネタが挙り、それに対しての反応がその場に連なっていました。ブログが使われるようになると、フォーラムでの会話だけでなくブログを中心とした会話もスタートしました。簡単にブログを設置することが出来るので会話が一カ所ではなく数多くの場所で発生するようになったものの、ブログにあるコメントやトラックバックによってなんとなく繋がり合っていました。また、TechnoratiやGoogleブログ検索を利用してある程度、会話を追うことも可能です。しかし、現在はさらに会話を追うのが難しくなってきています。 今はブログより気軽に自分の意見を書き込む場所が数多くあります。Livedoor クリップをはじめとしたソーシャルブックマークサービスのメモ機能。Tumblrのようなスクラップサービス。Newsingのようなソーシャルニュースサイト。コメントが集中するところは特定出来ますが、それでも膨大な数のサービスが存在します。最近ではFriendFeedのようなライフストリーム系のサービスでもコメントを記入出来るような機能を実装しており、類似サービスも幾つか登場してきています。 自分の意見をサクッと書く場所として最も敷居が低いのはTwitterやTimelogのようなプチブログ。1日に数十もの言葉を発している人も少なくないところから、インプットの敷居の低さが分かります。Twitter のようなサービスが典型といえますが、最近の会話が起こる場所はよりリアルの会話に近づいてきたといえます。リアルタイムかつ簡単に出来るだけでなく、発信するための道具も豊富にあるので、自分の発言スタイルやネットワーク (友達との繋がり方) にマッチしたものも選べば良いわけです。一元化されていてフラットだった会話がダイナミックでソーシャルになってきたといえるでしょう。 自分のブログを中心に発生する会話の場所も分散化しています。中心から離れるほどリアルタイムになり追ったりアーカイブするのが難しくなります。 このように単純にブログをチェックしているだけでは特定のトピックを取り囲んで行われている会話が追えなくなってきています。ここで課題になってくるのが、いわゆる Web 1.0 的なツールであるブログでの会話と Web 2.0 的なソーシャルサービスでの会話をどのようにマッチングさせていくかだと思います。ブログやフォーラムが全盛期だった頃は会話がある程度一元化されていたので、会話を追うことはそれほど難しくありませんでし、時間が経過しても会話がまとめてアーカイブされるので後で見るのも便利です。会話が分散してしまった現在では全体像をみるのが困難です。 これはブログを書く人、もしくは読者だけの課題ではありません。Webマーケティングやカスタマー・リレーションズにおいても重要な課題といえるでしょう。数年前は単純にブログスフィアでの会話を追えば評判やフィードバックを得ることが出来ましたが、現在はブログスフィアをみているだけではユーザーの反応の半分も得ていないといっても良いかもしれません。アクセス解析のリファラだけでは何処で濃い会話がされているかというのも確認することは難しいでしょう。 現在は、リファラや有名サイトやサービスを起点にして地道に探すしかないのかもしれませんが、同時にビジネスチャンスといえるでしょう。数多くのサービスに分散化した会話を追うことが出来るサービスが今必要とされてると思います。全体像をみることが出来る視覚化ツールではなく、特定のURLや話題がどのように会話されているのか理解出来るツールがあれば、誰でも好きなツールを使いつつ会話に参加しやすくなるのではないでしょうか。

無線メッシュ・ネットワークの可能性

2008年2月6日 11:57 pm

無線メッシュ・ネットワークは相互に無線接続することを可能にする技術で、電波の強度などに応じて接続ポイントを自動的に変えて最適な経路でネット接続が出来ます。無線メッシュ・ネットワークは数年前からあるので知っている方も多いと思いますが、最近再び注目を集めている印象があります。 One Laptop Per Child (OLPC)は、無線メッシュ・ネットワークを利用してネット接続するデバイスで、有線回線が1つしかなくても誰でもネットワークに繋がることが出来るようになっています。少し違いますが、Apple が Mac OSX に実装している Wireless Distribution System (WDS) も設定をすれば無線メッシュ・ネットワークのような使い方を可能にしています。無線メッシュ・ネットワークの長所は幾つかあります。 低コストもしくは無料でネット接続が可能になるほぼ無制限にネットワークを広げることが出来る高い拡張性利用しているアクセスポイントが失ってもすぐに別のポイントからアクセス出来る柔軟性 OLPCを例に出すと、今はまだネット接続出来る環境が少ない国や地域を対象にしているような気がしますが、無線メッシュ・ネットワークは公共サービスの向上に役に立ちそうな技術だと思います。 Motorola の Wireless Broadband Mesh Network に幾つかケーススタディがありますが、ロサンゼルスをはじめとした幾つかの街に設置されている監視カメラは、無線メッシュ・ネットワークを使ってリアルタイムに警察や消防署に映像を送ることを可能にしているそうです。他にもこの記事に書かれているイギリス、ポーツマスにあるバスシステムの話が興味深いです。ワイヤレスネットワークに繋がっているモニター付きのバス停が街に設置してあり、文字通りリアルタイムでバスがどの辺を走っているのかが分かるようになっているそうです。 もちろん無線メッシュ・ネットワークを使わなくても出来ないことはないですが、拡張性と低コストを考えると利用する価値があるのでしょう。使い方によっては日本でも応用出来ると思いますし、新たなコミュニケーションチャンネルが生まれそうなので、これから期待です。

About

東京在住の「デザインする人」長谷川恭久の個人サイトです。

2008年2月より、新しい CMS を利用して再スタートしました。以前の記事はこちらのエントリーリストを。そして、たくさんの方に読まれた人気記事が読みたい方ははてなブックマークの注目エントリーを参考にしてください。

Feedbacks
  • nonko: とても参考になりました。 あとは実践のみ!! 《成せばなる?!》かな??? おじけずにスタート目標日を決めて 走り出そうと思っています。   ありがとうございます。
  • nonko: まだまだ未熟な読者ですが… まずは《やってみる》とゆうチャレンジの気持ちを湧き立たせて戴 けたようで 少しワクワク♪♪♪しています
  • 百十番: >その価値をいかにマネタイズするのかが今後の課題ですが 、 この話は、もう10年以上語られていますが今だに巧妙は見えず、 ジャーナリズムの衰退には逆に拍車が掛かっていると思います。 >硬派な分野では...
  • ヤスヒサ: @techforlearning 教育とソーシャルメディアの相性は良さそうですね。日本ではブー ムがすっかり去ってしまった Second Life ですが、海外では遠く離れた学校間のコミュニケーションの場とし て...
  • techforlearning: こんにちは。いつもYasuhisaさんの示唆に満ちたエントリ 、勉強になっています。私は学校サイトの運営をしていることから 、WebsaYoutube, Twitter, Facebook,...