Webという媒体を理解した上でのデザイン

写真前回書いた「Webデザインへの理解を深める」で、Webデザイナーはデザイナーではない (又はWebデザインはデザインではない) と思われているときもあるような気がします、と書きました。この辺について詳しく書いていなかったので、棚橋さんの「デザインへの理解を深める」にもインスパイアされつつ、書いてみようかと思います。

媒体への理解がデザインの第一歩


紙のデザイナーは紙のもつ特性や性質、そして紙にのせるインクがどのように印刷されるのを理解しており、彼等はその理解を元にデザインをしています。その理解とは紙のデザインのもつ可能性であると同時に制限を知ることでもあります。出来ることと出来ないことはどのデザイン分野にも必ず存在するもので、出来る領域でどのようにデザインするのか(もしくはどれだけ領域の限界に挑戦するか)が課題だったりすると思います。

デザイナーは皆、自分がデザインする媒体を理解した上でデザインしているわけです。言い換えれば媒体を理解していない方は、その媒体に適したデザインをしていないといえるのかもしれません。

紙がひとつの媒体であると同時に、Webもひとつの媒体です。そしてこの2つは共通する要素があるものの、異なる媒体です。媒体が違うということは、その媒体でデザインできる領域と制限が異なるわけです。「紙では○◯が出来るのに Webでは出来ないよね」(もしくは逆のパターン)と言うのは実はナンセンスなことで、それは媒体を混同していたり、自分が手がけている媒体の仕事がデザインそのものを定義していると考えている可能性があるでしょう。

Webの中に存在するディテール


そもそも紙のデザインと Web のデザインが混同されたり、同じ土俵で比べられてしまう原因は「Webページ」「ホームページ」という言葉が一般的に使われていたり、レイアウトといった紙のデザインでもよく使う用語が使われているからかもしれません。又 Dreamweaver のような DTP から入りやすい制作ツールがあるのも原因のひとつでしょう。先にも書いたように紙とWebには共通している部分が少なくないのでこうした言葉の共有も発生してしまうのは当然のことだと思いますが、それが媒体そのものがだいたい同じであると誤解してしまうことに繋がってしまうのかもしれません。

そうした誤解の中でよく聞くのが「紙では文字やレイアウトの細部まで拘れるのに Webでは出来ない。」という意見です。
媒体が違うのだから当然です!という乱暴な応え方も出来るかもしれませんが、それではあまり効果がないですね。それでは Webという媒体とはどういったものか、そして Web媒体に存在する細部への拘りとはどういったものか説明出来るようになっておくと良いでしょう。

デザインとは、どうつくるかではなく、どう使われるかを考えることであれば、まずは紙のコンテンツの使われ方と Webのコンテンツの使われ方を比較する必要があるでしょう。恐らく、紙とWebのコンテンツの消費のされ方は根本的に違うということに気付くと思います。この使われ方の違いが媒体の違いでもあり、アプローチも変えなければならないひとつの要因でもあります。つまり、『細部への拘り』も、紙とWebでは努力を注ぐ場所が違うわけです。

Webにおけるディテールとは、サイトにアクセスするときに発生する様々なプラットフォームやデバイスとの関わりをどのように協調させることだと思います。紙媒体のように映し出すイメージをどのように制御するかという意味でのディテールは、Webにはあまりないといって良いでしょう。しかし、様々なプラットフォームやデバイスを通してWebコンテンツにきちんとアクセスしてもらったり、利用してもらうようにするための拘りは紙にはないものでしょうし、Webに携わっている人たちは皆惜しみのない努力しています。

Zeldman氏の Webデザインの定義にWebデザインとは人間の活動を促進・助長するデジタル環境を作り出すことと書いていましたが、これこそWebという媒体における拘りでありディテールではないでしょうか。

Webをデザインする人になる


いつも何気なく使っている Web。そこには Webにしかないユニークな特徴があったり制限があります。それを理解するのは、まずはたくさん Webサイトを見たり使ったりするのが第一歩でしょうし、たとえインターフェイスのみを作っている方でもソースに目を通してみるということも媒体の理解へ繋がると思います。

紙媒体でデザインしていた方がWebでデザインをする場合でも、「Webデザインにおける考え方のシフト」で書いたようなコーディングの中に隠されたデザインを見出す必要があるかもしれません。そしてそれぞれの媒体の違いを理解して、オープンマインドで違いや特性を吸収することが Webという媒体をデザインする人に近づくことだと思います。
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