デザインに対する疑問や思いをこうして書いているのも、結局のところ自分の仕事の中心にある Webデザインに対する理解をより深めたいからだと思います。業界内でも、そして周りからもたれているイメージにせよ、Webデザインにはまだまだ誤解が多かったり、理解されにくい部分があるような気がします。時には Webデザイナーはデザイナーではない (又はWebデザインはデザインではない) と思われているときもあるような気がします。Webデザインの本で僕が最も影響を受けた「Designing With Web Standards (和訳) 」を執筆した Jeffery Zeldman氏が 2007年11月に書いた記事は、僕が抱いている Webデザインに対する疑問や思いを素晴らしい文章で書き上げられているように感じました。
A List Apart: Understanding Web Design
以前 Pen という雑誌で、ウェブクリエーターと呼ばれる人たちの特集と『素晴らしいデザイン』とされるサイトが紹介されていましたが、ほとんど Flash サイトでした。グラフィック、動画、アニメーションを豊富に使っていますが、クリックが出来る TV (もしくはポスター) のようなもので一方的な広告的サイト。こうしたデザイン誌のセレクトの仕方は Webデザインに特化した専門誌にもみられます。
もちろん、Webデザインを語るにおいて Flash サイトを紹介するのは必然ですし、ひとつのカテゴリとして確立されていますが、雑誌の誌面に綺麗に掲載されるものを優れたWebデザインとして紹介しているだけなのではないかと錯覚してしまうときもあります。これはセレクトしている人が紙媒体出身が多いからそうなってしまうのかもしれませんね。コラボレーションによるデザインというエントリーでも書きましたが、単に見た目が美しいものを作ることがデザインではないと思いますし、生活の何かしら影響を与えることが出来るからこそデザインの魅力だと思うんですけどね。
Google Maps は、Webのインタラクションデザインにおいてマイルストーン的存在だと思うし、アマゾンの情報の整理の仕方やチェックアウトまでのプロセスは特筆モノだと思います。Wikipedia にしても多くのネットユーザーに指示されているだけでなく、従来の Webページの概念を変えた重要なサイトでしょう。しかし、こういったサイトは素晴らしいデザインとして評価されることもないですし、デザイン雑誌に登場することもないです。
どうしてこんなことを書いているのかというと、Webデザインの評価が見た目や広告的なものに集約してしまうと、今 Webデザインの仕事を目指している人たちが、「良いWebデザインとはそういうものなのだ」と思ってしまうのではないかと感じるからです。そして、Webサイト構築の仕事にせよ、見た目だけしか評価の対象にならないのはあまりにも残念のような気がします。よく僕は Webデザインを建築やプロダクトデザインと見立てて話をすることがあります。Webサイトとそれを使う方との双方向の関係をどうサポートするのかが、Webデザインにおける重要な要素ではないかと思います。
自分として何が出来るかはまだ分かりませんが、少なくともこうした情報を発信したり、見た目だけではないデザインを考えた Webサイトを作ることを心がけるのがまず第一歩なのかなとは思ってます。
最後に、Zeldman氏が記事内に書いていた Webデザインの定義を:
Webデザインとは人間の活動を促進・助長するデジタル環境を作り出すことである。個人の声やコンテンツを反映したり適応させるものであり、時間に応じて変化するものの、同時にアイデンティティは常に保持されている。