心はゼネラリストでいたい

組織論の第一人者Karl E. Weick氏は現在のビジネスマネージメントにも大きな影響を与えた方。定まった意味のない事柄に主観的な意味付けを行う『センスメーキング』の概念を組織論に組み込んだ方としても知られています。個人は集団の中でどのように自分を認知しているのか、そして他の人たちとどのように影響しあって行動しているのかを知るには組織論が有効だといわれています。まだまだ知らないことが多い組織論ですが、経営者やマネージャーというポジションとして働いていなくても勉強の価値がある分野だと思います。フリーで仕事していたとしても、まったくひとりで働いているわけではありませんし、チームの一員として動いている場合が多いですからね。

Weick氏が1989年 The Academy of Management Review に書いた論文「Theory Construction as Disciplined Imagination (概要)」で、鍛錬された想像力をもとにした理論構築を行うための理論を提唱しています。手短に言うと良い理論を作るにはよく考えなくてはいけないという意味なのでしょう。概要を読んでもちょっと難しすぎて分からないところが多いです。

Bob Sutton氏のブログ「Why Specialists are Grumpy and Generalists are Happyという記事がありますが、そこで Weick氏の論文の中にある分かりやすくて印象的な文章の一部が引用されています。Sutton氏のブログエントリーで、ゼネラリスト(Generalist)とスペシャリスト(Specialist)の違いについて書かれた部分が引用されてます。

ゼネラリストは様々なアイデアに強い関心を持っているので、妨げになることが少ないとされています。たとえ何かしらの妨げがあったとしても、ひとつのアイデアに固辞することなく別のアイデアに移ることが可能です。それに対してスペシャリストはゼネラリストに比べて関心のある分野の数が少ないので、応用が利きにくく、ひとつのアイデアに無理に固辞してしまう傾向があるそうです。


良いアイデア(理論)を生むにはゼネラリストの存在は欠かせないというのが Weick氏の考えなのでしょう。スペシャリストよりゼネラリストのほうが優れており組織で必要とされているとは私は思いません。スペシャリストでも他の人の考えを聞き入れ、そこから考えられる自分の視点をうまく表現することが出来れば、重要な存在になると思います。ただ、自分は特定に分野のみに興味があるから、もしくは自分は○○という肩書きだからという理由でスペシャリストのような性格になってしまうときがあるのではないでしょうか。

2年半前に書いた「webデザインも4-4-2」でも触れたことですが、あまり肩書きや得意分野に固辞しすぎているせいで、かえってチームがうまい具合にまわらないケースもあるような気がします。書籍「The Ten Faces of Innovation (日本語版はイノベーションの達人)」では、T字型人間が必要とされている人材であると説明していました。T字型人間とは、広い知識に興味を示していると同時に特定の分野に長けている方を指します。つまり、Weick氏のいうスペシャリストとゼネラリストが組合わさったような人間なのかもしれませんね。

人材としてT字型人間がたくさんいるのかといったらそうはいないでしょう。むしろスペシャリストな方、もしくはスペシャリストを目指している方のほうが多いかもしれません。たとえ、スペシャリストであったとしても心がゼネラリストであれば、狭い視点になるのを避け、全体を見渡しながらコミュニケーションがとれるようになれるかもしれません。Webサイト構築の仕事は専門的な仕事ではありますが、特定の技術や知識だけもっていただけでは良いものが生まれません。たとえ仕事/作業そのものが特定の技術を使うだけとしても、全体を見渡して仕事をするだけでも自分そして周りの人の姿勢も変わってくると思います。
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