WebSigで語ったセマンティックウェブの未来

2008年10月20日 2:43 pm

先日 WebSig 24/7 で、「あなたが創るセマンティックウェブ」という題名で講演しました。RDF や Ontology といった専門的な言葉をほとんど使わないで、セマンティックウェブを啓蒙するという少し変わった視点で話をしました。個人的には、いかに技術的な側面を前に出さずにテクノロジーや未来を語るのに興味があったので良い機会でした。

このアプローチは「技術は重要ではない」という意味ではありません。技術もデザインも前面に出て自己主張するのではなく、根底を支える重要な部分です。技術、デザインを考慮することはむしろあたり前でそれらを無視して話をするのはナンセンスです。しかし根底だからこそ、いかに見せずに魅了させるのが、何かを啓蒙するときに必要なアプローチだと思います。たとえそれが専門用語が分かる同業者であったとしても、ただ聞かせるのではなく見せて表現することによってより伝わりやすくなります。

プログラマーはソースコードを公開することでウェブやコミュニティに貢献しているのと同じようにデザイナーはモックアップやアイデアを公開していくことで貢献出来ると思います。セミナーに続くという形で行われたワークショップは、それを体現したものといえます。多くの方達が参加してひとつのことに取り組むことで、様々なアイデアが生まれるだけでなく課題も見えてきます。アイデアを出し合ってまた洗練させるというプロセスを繰り返すことで初めて見えることも少なくありません。ワークショップやウェブ上で WebSig であったようなアイデアの交換が出来たら良いな。

現状維持するためのノウハウも仕事をしていく上で重要なことですが、ウェブという未来を作っている仕事についている訳ですから、未来に向けたディスカッションや情報交換は必要だと思いますし、ますます重要になってくるのではないかと考えています。

何事にもいえることですが、セマンティックウェブは良いとばかりではありません。セマンティックウェブが普及することによる課題もあります。セマンティックウェブがもたらす光と闇をバランス良く描き疑問を投げかけている例として、4年前にネット上で話題になった EPIC があります。あと5年でこういった世界になるのかは分かりませんが、目指している場所は近いような気がします。自分にとって気分の良い情報ばかり目の前に現れるようになってしまうと、それはそれで視野の狭い生き方になってしまいますね。

ウェブは好きな情報を手に入れることが出来るという魅力だけでなく、選択を与えてくれるという魅力もあります。特定の人やメディア媒体だけが「すべて」で「事実」だった時代はもう昔の話だと思います。ひとつのトピックに対して様々な角度から知ることが出来、自分なりに情報を吟味出来ます。自分から発信したい情報も何を誰に対してどれだけ発信したいかというのも選択出来ます。選択の自由というウェブのもうひとつの魅力がセマンティックウェブとどう関わるのかも興味深い点です。

スライドは無料でCreative Commons 表示-非営利-継承 2.1 日本というライセンスで公開されています。リンク付きの PDF なので関連サイトなどじっくり見たい方はぜひどうぞ。

semanticweb.pdf.zip (Zip圧縮 25.11MB) Creative Commons License

コメント

  1. Web担編集部 鈴木 Says:

    先日はありがとうございました、Web担鈴木です。

    ワークショップであれこれ考える中で、私も「EPIC」がよぎりました。当時まだ学生だったのですが、衝撃的な作品でよく覚えています。既に多くのレコメンド機能がサービス化されるなかで、長谷川さんが仰ってたように、”主張しすぎない”ということもとっても重要な気がします。それでいて、痒い所に手が届く、その辺をアルゴリズムがどのように解決していくのか……興味深いです。

    単純な感想になってしまってすみません、よろしければこちらもご覧下さいませ。
    「セマンティックWebはもうそこまで来ている? 第20回WebSig会議レポート」
    http://web-tan.forum.impressrd.....10/24/4245

コメントを書く

About

東京在住の「デザインする人」長谷川恭久の個人サイトです。

2008年2月より、新しい CMS を利用して再スタートしました。以前の記事はこちらのエントリーリストを。そして、たくさんの方に読まれた人気記事が読みたい方ははてなブックマークの注目エントリーを参考にしてください。

CSS Nite Shift 2009
Feedbacks
  • ヤスヒサ: @tazuke サービスも途中で終わ ったり実験としてリリ ースしたりと、走りな がら決めて行く感じが Google にはするので結果的...
  • bookslope: ちょっとズレますが、 たしかワンデンさんが ブランドコミュニケー ションに携わってます ね。「Google で、できること。」の...
  • tazuke: このエントリ同意見で す。特に下記。 『Google は未だにビジュアルア イデンティティをロゴ 以外は持っていない気 がします...
  • Eiji Nagashima: WDE、本当にお疲れ様で した。私自身、書き物 が苦手で無理なお願い ばかりをしてしまい、 申し訳ありませんでし た。ただ、...
  • hiloki: WDEおつかれさまでした 。三日間とも参加させ ていただきましたが、 あの場で生で先人たち の声を聞いたり少なか らずコミュ...