流動し続ける時代におけるWebとの付き合い方

適応能力が高い Web の力を最大限に活かすためにも、作る私たちが受け身であったり、固定概念に囚われているわけにはいきません。流動し続ける時代だからこそ、私たちも適応していく必要がありますし、どう適応するかを話し合う機会も増えていくでしょう。

講演の写真

2012年2月18日、CSS Nite in FUKUIが開催されました。今回は「予測不可能な世界でWebデザインをしよう」と題して、今後のWebに必要とされる価値と制作のためのアプローチについて話をしました。2年前は聞いたことなかったようなサービスやデバイスが、あっという間に大企業に成長したり、広く普及する時代。先がどうなるか分からない中、私たちは今何ができるのでしょうか。

テクノロジーで変化する人の価値観

価値観は、どのようなテクノロジーと共に暮らしているかで決まる部分があります。「本を読む」にしても、紙媒体の書籍だけ想像する人もいれば、ケータイや電子書籍を想像する人もいます。「TVを見る」にしても、HDDレコーダーをつかって観覧している人と Apple TV を使っている人では番組を見る行為が異なります。

紙の雑誌は、動かないiPad・・・それを当たり前と感じる世代が2年前に突然現れたわけです。

テクノロジーが物事の捉え方に大きな影響を与えているわけですが、近年テクノロジーの進化のスピードが急激に高まったことで、たった2年違いでも価値観がまったく違うという世の中になってきました。2年というわずかな時間でテクノロジーは大きく進化するわけですが、そこでテクノロジーの関わり方を変える人とそうでない人では明らかに違いがあります。

Webへアクセス出来るテクノロジーやサービスが増えているということは、その数だけ様々な価値観をもった人たちが存在するといっても過言ではありません。今後 Web へアクセスできる機会が増えるのは分かるものの、どのようなテクロジーが普及し、そこからどのような価値観が生まれるのかは予測不可能です。こうして考えているうちにも変化し続ける中、人に価値を提供しなければいけないわけです。

利用者が変わり続けているわけですから、作る側も、予測不可能な世界に対応できるような考え方や作り方を身につけていく必要があります。

流動する時代

柔軟性をもって変化を続けながら進む・・・そんなことは個人や小規模の会社だけの話のように聞こえますが、そんなことはありません。アメリカ、ヨーロッパに事務所を置くデジタルエージェンシー R/GAは、過去30年の間に5回ビジネスモデルと企業内の構造を変えているそうです。Fast Company に掲載された記事「This Is Generation Flux: Meet The Pioneers Of The New (And Chaotic) Frontier Of Business」には、R/GA の CEO である Bob Greenberg のメッセージが添えられています。

If we don’t change our structure, we’ll get less relevant. We won’t be able to grow.

構造を変えないのなら、自分たちは適切な存在ではいられなくなる。我々は成長できなくなる。

先が見えない上、猛スピードで変化し続ける時代。我々自身も時代に合わせるかのように、動きながら変われなければならないという Greenberg のメッセージ。「普及するまで様子見」と言っている間に、多くのチャンスを見逃してしまうことがあります。新しいことを無闇に取り入れることもありませんが、Webにとって、プロフェッショナルとして、クライアントにとってのプラスを見出すことが出来るのであれば、今すぐアクションをとらなければならない時代なのでしょう。

セミナーでは、ダーウィンの「変化に最も適応した生き物が生き残る」という言葉を残して終わりました。技術力・デザイン力・コミュニケーション力は重要ですが、予測不可能な今の時代に適応できる柔軟性のほうが重要ではないかと思っています。

偶然なのか必然なのか分かりませんが、Web は、様々な形に化けることが出来る柔軟性の高い媒体です。言い換えれば様々な形に適応出来る柔軟性を備えていると言えます。まるで今の時代のために発明されたものと言っても良いかもしれません。

いろいろなテクニックや技術が表れては消えている Web ですが、生き残っているものは、どれも柔軟性/拡張性/互換性が高いものばかり。Web を Web らしく使っている場が長く残っていますし、それは今後も変わらないと思います。Webブラウザという窓はなくなるかもしれませんし、より生活にとけ込んだ形で Web にアクセスするようになるかもしれません。しかし、そんな時代が来ても Web らしいプロダクトやサービスが人に最も近づける存在になるのではないでしょうか。

適応能力が高い Web の力を最大限に活かすためにも、今の時代、そして未来に適応できる Web デザインをさらに模索してく必要があります。こんな時代を楽しめる仲間がもっと増えたら良いですね。

筆者について

長谷川恭久

写真:長谷川恭久Webやアプリに関わる様々な話題を取り上げた講演やワークショップをおこなっています。日本各地で講演や社内勉強会を 100 回以上の経験しています。
社内勉強会、イベントでの登壇の依頼は、メールか Twitter メッセージからお願いします。

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