ストーリーで再認識するコンテンツの大切さ

数値やデータよりストーリーにして伝えた方が相手の記憶に残りやすい場合があります。ストーリーを組み立てることで、デザインのイマジネーションが湧く場合があるわけでなく、補助しなければならないデザインもコンテンツがない状態から作るより効果的になります。

CSS Nite LP11のミニワークショップ「人の特徴から見えてくる次のデザイン提案」の受講者のアイデアを共有します。過去2回の紹介は以下をご覧ください。

ストーリー

私たちの選択は、実経験か想像に関係なく何かのストーリーと関連している。

今まで発表したサイトは CSS Niteの提案でしたが、課題にでていたサイトは CSS Nite だけでなく KDDI Web Communications 様の CPI もありました。今回紹介する @iichikoh さんには CPI のサイトの提案を挙げていただきました。

CPI Webサイトのスクリーンショット

ストーリーについてkazumissimiさんの発表のときに解説したので詳しくはそちらを参照してください。

機械的なスペックや機能よりストーリーとして語ったほうが伝わりやすい場合があります。物語(ひとつの話)になっていたほうが情報を理解しやすいという調査結果もあります。人の記憶に残るようにプレゼンテーションにストーリーを盛り込む方は少なくなりませんが、それは人の特徴と関係しているのかもしれません。

例えば iPhone 4 をみてみましょう。Ratina ディスプレイ、マルチタスク、FaceTime などスペックや機能だけで語ることはたくさんあります。コマーシャル をみると分かりますが、FaceTime の機能がどれだけスゴいのか、どれくらい綺麗に表示されるかといった説明がありませんし、数値で優秀さを語ることもしていません。ただ FaceTime を利用したときの体験をストーリーにして表現しています。FaceTime の詳しいことは分かりませんが、FaceTime を使った iPhone の体験はどういったものかという印象は残るのではないでしょうか。

こういう困った場合は?→A:●●しましょう!という特に質問の多いキーワードをタイトルにしたストーリー仕立てのコンテンツをつくり、トップに数件の事例をキーワードを強調したQと、解決策を喚起するテキスト少々(全部ではない)をセットにして載せてQ&Aコンテンツ自体に呼びこんで読んでもらう。

iichikoh

CPI のようなサーバーレンタルのサービスをしているところであれば、どうしても機械的なスペックや専門職の方に向けた数値や情報を出す必要があります。しかし専門知識がある方だけがサービスを読むとは限らないですし、類似サービスが羅列している中 CPI を選ぶ理由を数値比較以外でアピールしたいところです。価格やスペックだけでは分からない価値を示すという意味ではストーリーをつくって伝えるのは効果的な手段です。

上記の提案のように FAQ を単なるリストにしてしまうのではなく、それをストーリーとして作り直してトップページから読めるコンテンツにしてしまうというのもおもしろいアイデアですね。ストーリーを考える上で、お客様の生の声があがっている FAQ は題材にしやすいでしょう。

今回の iichikoh さん、そして前回の kazumissimi さん共に「ストーリー」を題材にして提案を考えていただいたわけですが、2人とも全く違う視点で解決案を考えているところが興味深いですね。このバラエティがおもしろいですし、デザインには様々な解答があるということを物語っています。

ところで、ストーリーを作ることと Web デザインと何が関係あるのでしょうか。

私はデザイン案を出すときに意味が通じないダミーテキストを入れるということは、まずありません。原稿があればそれを編集して使いますが、ない場合でも自分で文章を書いてそれをデザインに入れるようにしています。少しでもはやくワイヤーフレームやデザイン案をクライアントに見せなくてはならないという課題はあります。しかし、それを優先するためにコンテンツを後回しにしていたとしたらどうでしょう。それは言い換えれば利用者が最も必要としているものを後回しにしていると捉えることは出来るのではないでしょうか。

以前、組み立てるだけのサイト制作プロセスを変えるヒントという記事で雑誌の制作プロセスと比較して Web サイトデザインに必要なコンテンツからのデザインの重要性を解説しました。デザインはコンテンツを引き立てる役割にあると思いますし、コンテンツを作ることでデザインのイマジネーションが湧く場合もあります。利用者に印象を残すためのストーリーを考えるというプロセスは、実はデザイン / 装飾を考える上で重要なステップといえるでしょう。また、ストーリーをどのように利用者にみせるかというシナリオを考えることでページの流れやゴールのページへの導き方にも工夫が生まれるかもしれません。

ツリー式のサイトマップをつくって、情報があるということになっている箱を並べたワイヤーフレームをつくって、ダミーテキストがはいったデザイン案を Photoshop か Fireworks でつくる。ブログのテンプレートや汎用性の高い CMS のテーマを作るというのであれば、こうしたルーチンワークは効果的です。こうした作り方そのものが悪いわけではなく、果たして私たちは利用者が最も必要なコンテンツを中心にしてデザインが出来ているかを問いかけなければいけません。現状、何が足りないのか、それに対して何が出来るのか模索していく必要があります。

小さなところから、そして自分から提案出来るようになるためにも、今回のワークショップはひとつのキッカケになっていれば幸いです。ストーリーのようにコンテンツに重点を置いた人の特徴以外にも様々な角度から改善・提案をする方法はあります。よいデザインに落とし込むためにも「なぜ」そうしたのかを語れるようになりたいですね。

筆者について

長谷川恭久

写真:長谷川恭久Webやアプリに関わる様々な話題を取り上げた講演やワークショップをおこなっています。日本各地で講演や社内勉強会を 100 回以上の経験しています。
社内勉強会、イベントでの登壇の依頼は、メールか Twitter メッセージからお願いします。

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