Webサイト制作の終わりと始まり

CSS Nite Shift 5 で「我々が知る世界の終わり(けど大丈夫)」という講演をしました。Webサイトは必ずいるよね、という前提に囚われず、利用者が最も必要としているコンテンツを配信する手段を選ぶ時代になりました。そのときに Web プロフェッショナルとして提供できる価値は、Web を熟知していること、コンテンツと利用者を繋げることができるスキルだと思います。

12月10日に年末好例のイベント CSS Nite Shift が開催されました。Webサイト制作に関わる様々なキーワードに触れながら1年を振り返るこのイベントも既に5回目。今年は「我々が知る世界の終わり(けど大丈夫)」と題し、Web に関わるプロフェッショナル達が、今後クライアントや利用者に向けてどのような価値を提供できるのかというテーマで話をしました。

Webサイトを作ることが目的になっていないか

いつの間にか、公式サイトを作って公開することが当たり前になっている今日。CMS が広く導入されるようになってきた頃から、「とりあえず作る」という傾向が強くなった印象があります。システムを上手く活用すれば、コンテンツはあとで後で流し込めるので、コンテンツが揃う前に作れる(装飾をする)という考えが定着したのかもしれません。作ることが目的になっているからこそ、Web サイト制作における価値も作るためのスキルと、早く作るための効率化が中心になりがちです。

いつの時代になってもスキルや効率化は重要です。しかし Web サイトを作ることが目的になっていることが前提として成り立っている部分が多少あります。利用者が求めているものは、Webサイトではなくコンテンツ。つまり、「とりあえず」出す必要があるのは、Web サイトではなくコンテンツです。従来はコンテンツを出す手段が、制作者達によって作られた Web サイトである必要があったかもしれませんが、今はそうではありません。無料で使えるテンプレートで公式サイトを運営しても良いわけですし、実際そうしているところも出てきました。

厳密なプロセスが必要とされる設計を 1 ヶ月続けるより、明日からコンテンツを配信することが出来たほうが、誰にとってもメリットです。そのときに、どのツールやサービスを使って、どれくらいの頻度で、どのようにコンテンツを配信すれば良いのかを知っている必要があります。ここが Web に慣れ親しんでいる私たちの腕の見せ所になります。

Webに関わる仕事の道は広がる

「Webサイトは作らなければならない」という前提が今変わり初めています。

だからといって、Webサイトが全く必要なくなるわけでもないですし、培ったスキルが使いものにならなくなるわけではありません。今まで Web の世界が流動的に進化を続けてきたように、これから訪れる時代も今までのノウハウは活かされていきます。装飾やマークアップといったフロントエンドを作る能力も、よりコンテンツに寄り添う形になることで、今まで以上に役割を果たすことになる可能性もあります。数ある優秀なツールやサービスではなく、人の力を使って Web サイトを作る意味も深まるのではないでしょうか。

  • どこを経由して配信すれば人に届くのか
  • どの技術を使うことで広がりをみせるのか
  • どのような見せ方にすれば次へ繋がるのか

今でも上記のことが十分考えられているサイトはたくさんあります。配信手段が公式 Web サイトという場だけではなくなることで、クリエイティブの幅はさらに広がると思いますし、まずはコンテンツをどうしようかという議論をより早くされる可能性がでてくると思います。コンテンツを考えることをプロジェクトの起点にすることで、遅れがちの制作プロセスがスムーズになることもありえます。

2012年は、Webサイト制作者を助けてくれる便利なツールがさらに増えることでしょう。それは同時に、コンテンツ配信が手軽に出来るツールやサービスも増えるということも意味しています。技術の発展により、コンテンツ配信の敷居がますます下がるからこそ、コンテンツに対してもっと考えなければ、埋もれて見えなくなって終了になってしまいます。人に届けれるコンテンツをどのように設計するかを考えるのが、Webプロフェッショナルの揺るぎない価値になるはずです。

今回のプレゼンは 7月のセミナーのように、手描きでスライドをつくりました。前回の記事で、手描きが話題になって内容が残らなくなる危険性があると書いたので手描きにするのは少し迷いがありました。しかし、今回の話題が少し暗い部分もあったので、雰囲気を和らげるため手描きにすることに決めました。アンケートの結果を読むかぎり、今回はうまくコミュニケーションがとれたようですが、スライドの表現方法はより気を使いたいと思います。

筆者について

長谷川恭久

写真:長谷川恭久Webやアプリに関わる様々な話題を取り上げた講演やワークショップをおこなっています。日本各地で講演や社内勉強会を 100 回以上の経験しています。
社内勉強会、イベントでの登壇の依頼は、メールか Twitter メッセージからお願いします。

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