10年以上前からあったライフストリーム

ライフストリーム (Lifestream) といえば去年あたりからよく耳にするようになった言葉。様々な利用者のネット活動をリアルタイムに追うことが出来るライフストリーム。FriendFeedのようなサービスを使って複数の利用者の活動を観覧することも出来ますし、自分で作ることも可能です。

最近出てきた情報の見せ方なのかと思っていましたが、10年以上前から「ライフストリーム」とい言葉は同じような意味合いで使われていたみたいです。イェール大学では、1996年に The Yale Lifestreams Project というプロジェクトを立ち上げています。「Lifestream とは」では以下のように説明されています。

A lifestream is a time-ordered stream of documents that functions as a diary of your electronic life; every document you create and every document other people send you is stored in your lifestream.

時系列に様々な電子文書を並べるという部分はまさにそのもの。共有部分も以前から考えられていたのが分かります。当時のライフストリームはちょうどLeopard のタイムマシーンに似たイメージです。こちらにビデオが掲載されていますが、どちらかというとファイルシステムの別の見せ方としてライフストリームが存在していたといえます。

ファイルシステムとしてのライフストリームに関しては Wired が 1997年に掲載した「Lifestreams」に詳しく書かれています。デスクトップでは管理しきれない数百数千のファイルをいかに整理して見せるのか、そしてインターネット世代に最適化された視覚表現は何かという課題に対する応えとしてライフストリームが紹介されています。

確かにライフストリームのようなファイルの見せ方にはメリットがあります。第一に管理が簡単という点。セマンティック解析も必要もなければ手動でフォルダを振り分けることもありません。ファイルだけでなく自分の生活もライフストリームに取り込むことが出来れば「先日、出張から帰ってきたときに調べたプレゼンファイルはどれだったかな?」という調べ方も可能になります。単にタイムスタンプから情報を見つけるというよりかは、生活から見つけることが可能になるといったところでしょうか。

10年以上経った今もライフストリームから情報を整理・検索するといった使い方は採用されていません。しかし、ウェブサービスとしてのライフストリームも始まったばかりといえますし、ネット上以外の生活をうまく取り込めていないのが現状です。今後、もしかするとデスクトップ以外の見せ方としてライフストリーム的な見せ方の現実味は増すのかもしれません。昔の『Lifestream』の捉え方を読んで少し視野が広がったような気がしました。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。