ジェスチャーを使ったモバイルコミュニケーション

マルチタッチやタップによるソフトウェアとのインタラクションが携帯電話で増えてきました。スクリーンに直接触れるという直感的な操作が魅力的ですが、指を使った操作だけでなく、ジェスチャーを使った操作も近年注目を浴びています。Nintendo Wii のようなゲームデバイスもそうですし、日本の携帯電話にはモーションセンサーが実装されたものがあり、ゲームなどに利用されています。iPhone でも Friend Book のようなアプリは握手をしているようなジェスチャーでコンタクトの交換が出来るような機能があります。

デバイスに触れる操作だけでなく、ジェスチャーを使った携帯電話の操作にはどのような可能性が秘められているのでしょうか。Nokia Research Center では、フィールドスタディをしながらジェスチャーを使った新しいコミュニケーションの形を模索しています。デザイナーの Younghee Jung が中心にジェスチャーデザインの模索が続けられています。

Nokia の携帯には既に幾つかのジェスチャーが使えるようになっています。例えば Nokia 8800 は、本体を裏返すことでマナーモードに切り替わります。Nokia N86 8MP では、本体を傾けることでスクリーン表示が変わるようになっています。この他に果たしてどのようなジェスチャーが自然に使えるのでしょうか。Youngheeさんも指摘していますが、文化によってジェスチャーの使い方や捉え方が異なる場合があり、人によってはアクションを関連づけるジェスチャーが結構意外なものだったりするそうです。様々なジェスチャーの可能性を調べるという意味でも、フィールドスタディが重要といえます。

スクリーンのインターフェイスではスクリーンサイズが限られていることから、特定の機能が埋もれてしまったり、使うのに手間がかかる場合があります。そうした場合、ジェスチャーのような『ショートカット』があると便利ですね。とはいうものの、周りから見て不自然な動きになってしまわないかというのも気になる点ですよね。しかし、広まれば不自然と思われなくなるかもしれませんが・・・。

デバイス本体に組み込まれているジェスチャーも欲しいですが、アプリ開発者が様々なジェスチャーを編み出したほうがおもしろいかもしれません。本体だとユニバーサルなジェスチャーを追い求めなくてはいけませんが、アプリであれば特定の国やグループに対して独自のジェスチャー/操作を提案しても良さそうですし。ただ、人の心理や行動を観察し、理解してインタラクションに繋げるという点はアプリであっても変わりないです。携帯電話という身時かなデバイスだからこそ、身近に感じることが出来るジェスチャー/操作を模索しなくてはならないのでしょう。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。