デザイナーであればウェアラブルを今持つべき理由

スマートフォンのデザインが独特であったと同じように、ウェアラブルのデザインも従来の感覚が通用しないところが幾つかあります。ウェアラブルを身につけることで自身のデザインアプローチを振り返るキッカケを与えてくれる点が3つあります。

様々なウェアラブルデバイス

まず体感せよ

一昨年くらいから Jawbone UP や、Android のスマートウォッチなど、幾つかのウェアラブルを試しています。先月発売された、Apple Watch もしばらく使い続けています。「これで生活が変わりました!」と言えるほどの劇的な変化はないものの、発見や気づきがあります。

まだ購入を悩んでいる方がいると思いますが、デザイナーであれば何でも良いのでウェアラブルを今から付けて生活をしたほうが良いと思います。

もちろん今のウェアラブル市場は『幼少期』と同じようなものです。パフォーマンスも良くないですし、デバイスにインストールするアプリも「なぜか分からないけど、違う」という感覚を得ることになるでしょう。スマートフォンと似たような構造や操作感を、スマートウォッチ用に小さくしただけのアプリもたくさんあります。スマートフォンという小さなスクリーンを考慮されたシンプルなインターフェイスですら、ウォッチでは煩わしいと感じるかもしれません。

所有者数も少なく、使えるアプリも多くないなら買う必要はないと考えるのは当然です。しかし、『幼少期』からスマートウォッチをはじめとしたウェアラブルがもつデザインの課題や機会を探ることで、一般の方が使い出す『成長期』に備えることができると思います。スマートフォンのデザインが独特であったと同じように、ウェアラブルのデザインも従来の感覚が通用しないところが幾つかあります。それは、書籍や記事を読み漁るより、体感したほうが理解しやすいです。

ウェアラブルを付け始めることで考えやすくなるデザインの課題は 3 つあります。答えが見つかるわけではありませんが、ウェアラブルを身につけることで自身のデザインアプローチを振り返るキッカケを与えてくれます。

1. 通知について考える

スマートフォンからの通知は邪魔にならなかったものでも、常に身につけているデバイスになると邪魔に感じることがあります。本当に大事なものだけが通知されれば良いのですが、「大事なもの」は個々によって異なります。大事なものを手動で設定する必要があるかもしれませんし、コンピュータが学習していくことになるかもしれません。ただの新着情報を通知としてウェアラブルに送るという機能を実装すれば良いというわけにはいかなくなります。

ウェアラブルを使いながら「これは良い通知だ」と思えるものはあるでしょうか?可能性として以下の 2 つの条件を満たしていることがあります。

A. 良いタイミングかどうか

時間だけでなく、場所や天気、または気分といったところもグッドタイミングの要素です。ウェアラブルであれば今まで取得が難しかった利用者の情報を活用した通知も可能になるはずです。また、スマートフォンに比べて通知の選別が厳しくなる可能性があるので、利用者にとっての「大事なもの」とは何か、そしてそれはどのように見せれば良いのか考える必要があります。

B. 何か行動を促しているか

通知をしたことで「アプリを開く」「送信をする」「電源をオンにする」といったデジタル製品に向けた行動だけでなく、通知を見たからアプリを開かずに済むといった、オフラインの行動を促すということも考えられます。行動を促すためには、通知が明確・簡潔に伝えているかが鍵になります。ウェアラブルの小さなスクリーンを数回スワイプするという操作をするくらいならスマートフォンのほうが楽です。ちょうど良い情報の単位、瞬時に理解できる構造、伝わりやすい言葉になっているでしょうか。

2. マルチデバイスでの利用シーン

ウェアラブルは(今のところ)単体で使っても役に立ちません。スマートフォン、タブレット、IoT、又はパソコンと一緒に使うことで初めて本領発揮するデバイスです。つまり、ウェアラブルのスクリーン上で見せる情報を考えるだけでなく、ウェアラブルが他のデバイスとどのような関わりをもっているのかを理解する必要があります。

オフラインとオンラインを同時体験することは今や当たり前になりつつありますが、ウェアラブルが加わることによって、新しいストーリーが生まれる可能性があります。人がどのようにデバイスを使うのかといったところだけでなく、どのような生活を送っているのかというスコープを広げた調査や理解が不可欠になるでしょう。

3. GUIデザインの未来

スマートフォンでは、スクリーン上の様々な要素を指で直接触れることを可能にしました。ウェアラブルでもそれは変わりませんが、主な操作手段ではなくなるかもしれません。音声による操作とフィードバックが、より身近になる可能性がありますし、そもそも私たちが何かを入力する必要がなくなるかもしれません。私たちが入力(コマンド)をすることなく、ウェアラブルは私たちのことを学習してくれます。優れた通知が増えてくるのであれば、パッと見たり、ひとつの操作で済むことになります。

デバイスと人間の関係はウェアラブルで大きく変わります。今までのように GUI をつかって操作することが、関係を築くための主な手段ではなくなるはずです。そのときに UI デザインは何を設計すれば良いのでしょうか。見た目が良いGUIが良いUIとは言えないわけですから、人と人、人とハードウェアとの関係を考慮したインタラクションデザインがより重要視されるのかもしれません。

Project SkinProject Underskin のようなウェアラブルも遠い未来ではなくなります。

筆者について

Experience Points

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