デザインについて語れる批評をするコツ

デザインの批評といいつつ、感情的で漠然な言葉が出てしまう場合があります。プロジェクトの目的を意識し何のために批評をするのかを見直すことで得れるべきフィードバックを勝ち取ることができるようになるでしょう。

批判ではなく批評

個人プロジェクトでない限り、公開前に誰かにデザインを見せる機会があると思います。相手はクライアントかもしれませんし、同僚・上司なのかもしれません。デザイナーの中には見せるのを躊躇している方もいるのではないでしょうか。知恵とスキルを出し切って作り上げた子供のような存在なので、万が一批判されたのであれば自分自身も批判されているように感じるのではないでしょうか。IDEOの Time Brown 氏が TED の講演で「デザインはデザイナーだけに任せるには重要過ぎる」という言葉を残しているとおり、デザインを皆で考える機会を作るべきです。デザイナーは早い段階から他の誰かとアイデアを共有するべきですが、会話が批判的なものになりすぎているのであればデザイナーも積極的に参加もしてくれませんし、デザインを前提とした会話にはならないでしょう。

「この色は違う」「使いにくそうだ」「分かっていない」

自分の作りだしたアイデアに対してこんな言葉が出てしまえばデザイナーでなくても気が滅入ってしまうでしょう。批評の目的はデザインをもっとよくするためであり、デザイナーの気分を害するためではありません。あなたにとって『違う』と感じることかもしれませんが、デザイナーは何かしらの意図があってアイデアを視覚化しています。まず感情的になる前に彼等の意図を探り出すところからはじめなければいけませんし、デザイナーも意図を語れる必要があります。

批判ではなく批評の場をつくるのは、何に気をつければ良いのでしょうか。ちょっとした工夫で「使い難そうだ」から一歩先に進んだ会話を始めることが出来るようになります。以前「建設的な会話をするために気をつけておきたいこと」という記事で似たような題材を紹介しました。今回はデザインの批評の仕方にフォーカスして幾つか気をつけておきたい部分やオススメの方法を紹介します。

始める前に FAQ は潰しておく
皆が同意しているプロジェクトの目的や提供したい体験を洗い出し、それが現状こういう形になっているということを説明する
前提に基づいた意見をいう
漠然な思いを語るのではなく、皆が同意しているプロジェクトのゴールを前提にして話をする。前提からズレているのではないか、デザインのこの部分がそう思わせているのかもしれないなど、ゴールについて触れるようにする
答えではなく道筋
自分の視点で考えられる答えを告げるのではなく、なぜ自分がそう考えるかの視点を告げるようにする。その視点は他の人が見落としていた部分かもしれないので、そこから皆で答えを導き出せる。又はデザイナーならではの解決策を見つけ出しやすくなる
いろいろなスタイルがあることを認識する
その「かわいい」はあなたが考えているものと違うかもしれませんが、テイストやスタイルは人それぞれ。多くの人が違うという認識がであれば話は別ですが、自分のスタイルを主張するのではなく広義に解釈されている良いデザインを基に語るようにする
個人的な意見は言ってもよい
誰でも意見はありますし、意見を言うことで批評の場が盛り上がることがあります。しかし、その意見が感情的なものであったり前提に基づいていない意見であればそれは口に出す必要はないでしょう。「利用者はこう考えている」という意見にしても他の人が同意しやすいような理由付けを忘れずに
作った人がリードしてみる
自由に批評するのではなく、他のミーティグと同じように誰かがリーダーとして批評を牽引する必要があります。少々勇気がいるかもしれませんが、デザイナーがリードすることでデザインの意図を解説しながら進めることが出来ますし、出て来た意見に対してすぐにフィードバックすることができます

会話からはじまるプロセス

デザインについて語る機会を作るべきであると「自社にUX文化を広めるコツ」という記事で書きました。社内勉強会で取り入れることが出来る短いエクササイズを紹介しましたが、今回のような批評の場が実践と呼べるでしょう。客観的にデザインに対して批評が出来るようになることで以下の効果が得られるでしょう。

  • 社内で機能するクリエイティブプロセスが見つかる
  • チーム全体でデザインについて考える機会が得られる
  • デザイナーでない人も批評の意味とやり方を学習出来、問題解決の場に参加できる

デザインの批評はデザイナー本人を含めあまり望まれていないプロセスかもしれませんし、時間を費やしたわりには上手くいかなったり迷走してしまう場合があります。しかし、ちょっとした会話や準備の仕方を工夫するだけでも有益な批評に変わります。デザインを見た目の批評会ではなく、問題解決のための話し合いという視点に変えるだけでも出て来る意見が随分変わるのではないでしょうか。

Photo is taken by Kristian Bjornard

筆者について

Experience Points

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