コンテンツ細分化の前にしておきたい最低限のコト

枠組みを超えるWebコンテンツ

すぐにはできない細分化

利用者の文脈に合わせてコンテンツを配信するにはコンテンツのスマート化は必須です。そのために、ページという概念に囚われないかたちでコンテンツをいかに格納・管理するかが課題になります。Webデザインは枠組みのない世界と解説したことがありますが、Webコンテンツにも同様のことが言えるわけです。

コンテンツを細分化することによって、よりきめ細かく文脈に入り込める可能性が広がりますが、実践するのが意外と難しいことがあります。

コンテンツを細分化していくということは、個々のフィールドにどのような形式のデータを入力するのか厳格になります。ルールが必要になるだけでなく、それらを実際入力する手間もかかります。フィールドが増えれば、運営の負荷も少しずつ上がっていきます。運営のことを考えず理想的な細分化を推進しても続かなくなるわけです。

また、企業の中にはスクリーンに映し出されている情報を CMS に入れておけば良いと考えるところもあります。メタデータのような Web サイト利用者が見ないデータも入れていかなければいきません。また、ソーシャルメディアや検索結果のように、Web サイト・Web ページの外で自社コンテンツが見られることを意識した設計も不可欠になります。Web サイトに載せるものだけを作って管理するだけでは不十分ということを理解してもらうための教育も必要になります。

「これからは文脈の時代だ!」という言葉を耳にします。そのための施策の一環としてコンテンツの細分化がありますが、足元を見ないまま先に進めると長く険しい道のりになる可能性があります。

まず基礎をしっかり抑える

コンテンツの細分化の前に、現存のコンテンツでやるべきことを最低限できているか確認する必要があります。コンテンツ・インベントリーを作ってサイト全体を見渡してみると、課題が幾つか見つかることがあります。コンテンツの細分化という考え方に慣れてもらうためにも、以下の 3 つはチェックして修正を始めたほうが良いでしょう。

1. タイトルを正しく入力

大企業サイトでも意外とあるのがタイトルの重複です。企業名が記載されているだけのものから、別ページでも同じタイトルが使われているものまで様々。パソコンの Web ブラウザで、わざわざタイトルを見る人は少ないかもしれませんが、検索結果やソーシャルメディアでは、大きく表示されます。

スクリーンサイズも様々なので、宣伝文句を延々をタイトルに書き込むと、肝心の製品名の前に切れて見えないことも考えられます。最初の 10 文字でおおよその内容が分かるような工夫は必要です。

2. 概要を入力

概要(Meta Description)が未記入なのも多くのサイトに見られる傾向です。ページでは見えないものでも入力していくという細分化を実践していくのであれば、概要の書き込みはしておきたいところ。タイトルと同様、検索結果やソーシャルメディアで表示される重要なコンテンツです。

入力はされていても CMS の機能を使って、自動的に 100 文字ほど抜きとってあるところも少なくありません。手間が省ける便利な機能ですが、すべての画面で全体を把握できるような文章が最初の 100 文字に記載されているとは限りません。サイト訪問時には見えていない概要ですが、サイト外からのアクセスを考えると、手間を省くことができないコンテンツです。

3. ラベルの見直し

「お問い合わせ」「お問合せ」。「アクセスマップ」「アクセスの仕方」などなど。タイトルとページ内ヘッダーをまったく同じにすることが出来ない場合はありますが、表記ブレは極力避けなければいけません。たとえ、利用者が正しい画面にアクセスしたとしても、間違った場所に来てしまったと勘違いしてしまう可能性があります。

表記ブレはコンテンツの細分化には直結していませんが、ちょっとした表記ブレが重複コンテンツをつくるキッカケになることもあります。「アクセスマップがないから作ろう」と初めて見たものの、サイトの「お問合せ」画面に「マップ」が記載されていた … ということもありえます。こうした小さなケアが、コンテンツには時間が必要ということを体感してもらうには都合が良いです。

コンテンツを細分化するための機能は CMS に実装されています。しかし、だからといって細分化が本当にできるかは別の話。将来、本格的な細分化に向けて、まずは今やるべき最低限の細分化の作業とケアが必要でしょう。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。